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代官山に何が起きたのか? 様変わりした5つの原因

 まず代官山の様相を変えるきっかけになったのはやはり東横線の地下化および東京メトロ副都心線への乗り入れだろう。神奈川方面から渋谷を目指してきていた多くの乗客は、渋谷から先、新宿、池袋方面に流れていく。渋谷が単なる通過駅になってしまった。そうなると渋谷の一歩手前の小洒落た街だった代官山が忘れられがちになったのではないか。ただでさえ各駅停車しか止まらない駅である。そして駅自体が渋谷に向かって下るトンネルの入り口付近にあって目立たない半地下駅になった。人の流れというものは恐ろしいものだ。代官山駅は通過駅となった渋谷駅のさらなる通過駅という、誰も気が付かない駅に変質してしまったようだ。

 2つ目の理由が路線乗り入れによる客層の変化だ。それはTSUTAYAに入るとよくわかる。客層を観察すると代官山通りや八幡通りのセレクトショップにやってきてちょっと背伸びをしたいようなお姉さんたちではない。観光客や物見遊山的な客も目立つ。

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「ららぽーと」があればよいのに

 3つ目の理由が、ライフスタイルの変化だ。最近の若い人たちからは、代官山でお洒落して少し高い服を買うという消費行動そのものが消滅しつつあるのではないか。ほとんどの日はユニクロで構わないし、家具はコンランショップの家具ではなく、ニトリで十分。フランフランでこだわりのキッチン雑貨をそろえなくてもよい。むしろ「ららぽーと」があればよいのに、と思う。豊洲のタワマンに住んで週末はららぽーとでお買い物、こちらのほうが合理的で現代の生活にフィットしているのだ。

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 4つ目の理由が渋谷の変貌だ。渋谷は商業の街として栄えてきたが、今や駅前には超高層オフィスが林立するオフィス街になった。百貨店が立ち並ぶお買い物の街だった渋谷の一つ手前の代官山。ちょっとよい買い物をしたいのならばそのまま副都心線に乗って新宿三丁目の伊勢丹本店へ。渋谷にはないようなお店を探しに来るはずの街だった代官山のキャラクターを変えてしまったのかもしれない。

 そして最後に指摘しなければならないのが、地価や建築費の値上がりだ。代官山駅前の公示地価を東横線が地下化された2013年と現在を比べてみると、坪当たりおよそ505万円から889万円となんと75.8%も値上がりしているのだ。建設費は3割から4割は上がっている。土地を取得して建物を建設してテナントに貸そうにも高い賃料にしなければ満足のいく投資利回りは得られない。アパレル系のセレクトショップでは高くなった賃料負担に耐えられない世の中になったのだ。地価上昇はテナントの顔を変えてしまう。