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病で弱っていく妻を持つ棺桶職人と、栗売りの若い女性が森で出会って… 「栗の森のものがたり」を採点!

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〈あらすじ〉

 1950年代。ユーゴスラビアとイタリアとの国境地帯の小さな村では、第二次世界大戦後の政治的緊張と貧困が、村人に暗い影を落としていた。年老いた棺桶職人のマリオ(マッシモ・デ・フランコヴィッチ)は、病で日に日に弱っていく妻ドーラ(ジュジ・メルリ)と、都会に出た一人息子からの連絡を待ち続けている。一方、栗を売って生計を立てる若い女性マルタ(イヴァナ・ロスチ)は、夫を追ってオーストラリアへ旅立とうとしていた。

 ある日、森で出会った2人は互いの身の上を打ち明け、そして、ある提案をする。

〈解説〉

 忘れられた土地で生きる孤独な男女を寓話的に描く。グレゴル・ボジッチの初の長編脚本・監督作。82分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆物語自体も胸にしみるものがあるが、画面作りの的確さ、美しさに目を見張る。主役のおやじが棺桶職人というのもいい。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆人も背景も、なにもかもが茶色に塗りつぶされている。「個」を埋没させる奇妙な感覚だが、その先を呼び出す磁力はない。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★始まりから惹きこまれた。夢なのか回想か、老いて弱って居場所を去る描写が不思議な登場人物を交えて驚きの面白さ。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★☆☆地政学を反映したシュールなおとぎ話をモダンな味付けで。時代設定の合わないシルヴィ・ヴァルタンは感覚的な選曲?

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆栗の色が印象的な寓話の入子構造が絶妙。特に川を流れ来る栗を拾う娘と老人の場面。人生の長い道のりを見つめた気分。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
© NOSOROGI - TRANSMEDIA PRODUCTION - RTV SLOVENIJA - DFFB 2019

INFORMATION

『栗の森のものがたり』(スロヴェニア、伊)
10月7日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
https://chestnut.crepuscule-films.com/

病で弱っていく妻を持つ棺桶職人と、栗売りの若い女性が森で出会って… 「栗の森のものがたり」を採点!

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