〈あらすじ〉
1923年、アイルランド西海岸沖に浮かぶイニシェリン島。本土は内戦に揺れていたが、全島民が顔見知りの小さな島では、のどかな平和が保たれていた。
素朴でお人好しのパードリック(コリン・ファレル)は妹のシボーン(ケリー・コンドン)と二人暮らし。ある日、毎日パブで一緒に酒を酌み交わす親友のコルム(ブレンダン・グリーソン)から、突然絶交を告げられる。理由がわからず混乱し、賢い妹や風変わりな隣人ドミニク(バリー・コーガン)らの力を借りて関係修復を試みるが、コルムは頑なに拒絶。二人の対立は島内に不穏な空気をもたらし始め、想像を絶する事態へと突き進む。
〈解説〉
人の死を予告するアイルランドの精霊をモチーフに描く人間ドラマ。監督・脚本は『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー。第80回ゴールデングローブ賞3部門受賞。114分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★☆☆男二人の突然の仲たがい。喜劇かと思いきや、信仰にかかわる話。もっぱら、澄みきった大きな風景、犬、ロバに注目。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★★一見些細な話が異様な迷宮に入り込む。欧州の果てにある島の地霊が、男たちの演技に化学反応を招いたか。息を呑んだ。
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斎藤綾子(作家)
★★★☆☆荒涼とした風景が美しく、澄み切った歌声と家畜の従順な眼差しが胸に沁みる。男二人の姿が一層愚かしく思えるほど。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆ベルイマンやベケットの部品を独自に組み込んだ喜劇新思想体系。『スリー・ビルボード』の寓話コント的変奏とも言える。
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洞口依子(女優)
★★★★★ユーモアと哀愁とアイルランド内戦。死臭漂うリメリック。命懸けのジジイの絶交。先輩に並びコーガンの演技が光る。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
『イニシェリン島の精霊』(英)
TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中
https://www.searchlightpictures.jp/movies/bansheesofinisherin