ホークスの元気印と言えば、松田宣浩選手! ベンチでもグラウンドでも常に大きな声でチームを鼓舞する姿が逞しい熱男です。3月10日、ホークスのファーム本拠地・タマスタ筑後で初めて行われた1軍オープン戦、私はスタンドから観戦しました。
普段のヤフオクドームの1軍の試合と違って、この日は鳴り物応援がありませんでした。改めて松田選手の声の凄さを目の当たりにしました。叫びにも近いようなズッシリ重い声は、スタンドまでしっかり響いてくるのです。さらに、4回途中でベンチに退いてからも、誰よりも声を出し、チェンジになったら一番にベンチを飛び出し、守備を終えて戻ってくるナインをハイタッチと声掛けでねぎらっていました。松田選手を見ていると、グラウンドでの“声”の大切さを改めて感じました。
なぜ大きな声でアピールしないのか
一方で、「せっかくチャンスをもらっているのに、なぜ、大きな声を出してアピールできないのか」。今春、しばしば耳にした若鷹への叱咤です。ずっと目指してきた1軍の舞台に立つ貴重なチャンスを得たのに、松田選手はじめ、ベテラン勢の活気に埋もれがちだったように感じました。“声を出す”、そんな難しいことじゃないはずなのに、何で出来ないんだろう……とつい思ってしまいました。
そこで、オープン戦で“1軍”を経験した若鷹たちに聞いてみました。
タマスタ筑後で行われたオープン戦で、“1軍ベンチ入り”のチャンスをもらった育成2年目の松本龍憲内野手は、試合前、「1番若いんで元気出して、声出していってきます」と意気込んでいました。しかし、スタンドから見ていて聞こえてきたのはほとんど松田選手の声。試合後、「声出したかったんですけど、いざ出すとなると、何て言っていいかわからなくて……」と思うように声を出せなかったことを悔やしがっていました。
ケガ人続出のチーム事情から1軍でのチャンスをつかもうと頑張る3年目の谷川原健太捕手も、「声を出さなきゃいけないのはわかっているけど、何を言っていいかわからないです。周り、先輩ばかりなので……」と悩ましい表情。たしかに、2、3軍では周りはほとんど同世代で、何も気にせず声を出せても、1軍ではわけが違います。歳も下だし、実績もない中、日本一チームの1軍の先輩たちに元気よく声を掛ける……簡単なことではないです。「ナイスバッティング」さえ、「ナイスバッティング……です」といろいろ気を遣ってしまうようです。