のんびりと犬の散歩を楽しむ高齢者らが集う、穏やかな広島湾が目の前に広がる広島市佐伯区・みずとりの浜公園。
今年4月30日午後0時40分、浜に打ち上げられた奇妙なモノが散歩中の男性の視界に入った。男性は近づいてそれを確認すると、慌ててすぐに110番通報。駆け付けた警察官らが目にしたのは、両腕がなく下半身が切断された男性の遺体だった――。
広島県警は10月1日、広島市佐伯区内の住宅で2021年10月に植木秀俊さん(当時70)の遺体を切断した後、海や住宅の敷地内に遺体を捨てたとして、渡部大地容疑者(31)を死体損壊と死体遺棄の疑いで逮捕した。
事件の現場となった戸建て住宅には渡部容疑者の祖母が一人で暮らしていたが、事件当時祖母は不在だった。祖母の留守中にこの家で遭遇した2人が何らかのトラブルになり、おぞましい事件へと発展したとみられる。
全国紙記者が解説する。
「亡くなった植木さんは防犯カメラの映像や携帯電話の履歴から、渡部容疑者とトラブルになった10月29日まで生存していたことがわかっています。植木さんは警備員として働いていましたが、この日は仕事が休みでした。そして翌30日には急に無断欠勤となり、心配した職場関係者が植木さんの妹に『職場に来ず、連絡も取れない』と連絡をとったのです。妹は翌31日、広島県警に行方不明届を提出しています」
21年11月13日には山口県周防大島町の海岸で右足の膝から下の部分が、今年4月には冒頭のみずとりの浜公園で上半身が発見された。いずれもDNA鑑定の結果、植木さんの遺体であることが判明した。
遺体の身元が判明した後、広島県警は渡部容疑者を周到に“マーク”していたようだ。事件現場の近隣住民が話す。