1ページ目から読む
2/3ページ目

益田 まずは、サプリや高額な商品を売らない。患者と恋愛をしない。あと多剤処方する医師もいけません。ルールがあるのに、あまりにも医療の常識を外れた薬の処方をする医師もいます。こういう医師は避けた方がいいですね。

 それからスピリチュアルなことを語るとか。「精神を治すためには◯◯神に祈りなさい」なんて書いてある精神科医のホームページがたまにあるじゃないですか。

――えっ、そんなこともあるんですか? ホームページは必ずチェックしないといけませんね……。

ADVERTISEMENT

性被害を受けた人の「深い心の傷」とジャニーズ問題

――ジャニーズ問題を「精神科医がこころの病気を解説するCh」で取り上げた回では、動画の中で「性被害の恐ろしさとか、治療の困難さを知ってほしい」と発言されていました。

益田 ジャニーズの性被害の問題は前からメディアに無視されてきたと言われています。BBCが取り上げたときですら、相変わらず露骨に無視されていました。僕が動画でジャニーズ問題を取り上げたのは、結構早いタイミングなんです。BBCの放送から1週間と経たずに、最初の動画をあげました。

 だって、僕は臨床現場で、そういう性被害を受けた患者さんを診ているわけだし、性被害についてはYouTubeで何度も取り上げてきたのに、そんな僕まで黙っていたら、統合が取れないですよね。

――性被害に遭っている方は、自分の体験を重ねてあのニュースを見ているんですね。

益田 義理の父親からレイプされたとか、つらい性被害に遭っている人はたくさんいます。その事実がずっとしこりのように残っていて、現在もなお苦しんでいるんです。そういう人が大量にいる中で「またこの問題がメディアに無視されるのか」と思ったら、取り上げないわけにはいかない、という気持ちがありました。

 やっぱり普通に考えて、きちんと報道するとか、怒るべき人が怒ったほうがいいと思いますね。ジャニーズという組織を庇う人があまりに多すぎる。弱者の身にならず、ほとんどの人が強者に媚びている。そういうのは良くないし、不快ですね。

――ファン同士もいろんな意見に割れて困惑しているようです。

益田 極端なファンも行き過ぎてますね。社会をあまりに平面的に見過ぎている。エンタメはあくまでエンタメなんですから。

ビッグモーターは「集団病理」のわかりやすい例

――ビッグモーターの事件については、どのように取り上げているんですか?

益田 ああいう組織で、そこに馴染んでしまっている人が問題だと考えています。精神医学において重要なのは個人の内面じゃなくて「二者心理」です。

 一人ひとりは問題がなくても、二人揃うことで起きる問題というのがあるんです。ビッグモーターでも多分一人ひとりはいい人、いいお父さんだったりして、大きな問題はないと思うんです。だけど集団になると狂気を生んだり、訳のわからない詐欺行為みたいなことをやってしまう。病理はそういうものなんです。

 だから集団病理というのも治療として扱っています。集団でいることで起きる病的な状態。ビッグモーターはその説明になる、非常にわかりやすい例ですね。