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ネット上で模倣犯罪を予告する書き込みが次々と登場

 この事件は事件そのものも衝撃的だったが、残酷な犯行現場が鮮やかに撮られた街頭監視カメラの映像がインターネット上で急速に広がったことで、多くの人が韓国社会の「闇」に触れることとなった。事件後、ネット上で模倣犯罪を予告する書き込みが次々と登場し、治安当局を緊張させた。

写真はイメージです ©iStock.com

「新林駅で女性20人を殺す」「新林駅で韓国男性を殺す」「新林駅で女性をレイプしてから殺す」など、8月3日までに9件も犯行予告の書き込みが確認され、メディアを騒がせた。これに対し、ソウル警察庁は凶悪犯捜査隊に「殺人予告書き込み専門担当チーム」を構成し、サイバー犯罪捜査隊が被疑者を特定すれば、チームの刑事が投入され、追跡、検挙すると発表した。しかし、この発表直後、京畿道ソヒョン駅で3つ目の事件が起きた。

“秀才”だった22歳が14人を刃物で殺傷

 8月3日18時ごろ、京畿道城南(ソンナム)市ソヒョン駅近くで若い男性が車で歩道に突進して通行人をはね、近くのデパートに乱入。1、2階を行き来しながら、30センチの刃物を手あたり次第、その場に居合わせた人に突き刺したのだ。2人の死亡者と5人の重傷者をはじめ、計14人の被害者が発生した同事件。その犯人は事件現場近くに居住する22歳の配達員のチェ・ウォンジョンだった。

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写真はイメージです ©iStock.com

 チェは、中学時代に数学オリンピック大会で受賞をしたことがあるほどの秀才だったが、名門高校への進学に失敗した後、統合失調症の治療を受けていた。だが最近は、治療を中断していたという。

 チェは逮捕直後、警察に「知らない集団が私をストーキングして殺そうとする」と話すなど責任能力に問題があるような様子も見せたが、犯罪専門家らはこの事件は新林駅事件を模倣した計画犯罪であると判断した。チェが犯行前に現場踏査を暗示する書き込みをインターネットに掲載していた点、犯行当時、サングラスとマスクなどで顔を隠したり、警察に逮捕される前に凶器を植木鉢の中に隠したりするなど、たくみに犯行に及んでいた点、新林駅事件の動画を何度も検索していた点などを根拠に挙げた。