韓国釜山地方裁判所は2022年3月23日、20代の男に対し、女性の裸体を盗撮してインターネットに流出させた性暴力犯罪の疑いについて判決を言い渡した。懲役1年(執行猶予2年)、40時間の性犯罪治療講義受講を命じたのである。

 被告は、コロナ禍最中の2020年5月、大阪を訪問、出会い系アプリで知り合った日本人女性と酒を飲み、泥酔させて被告が泊まっていた大阪・難波のホテルに連れ込んだ。女性の服を脱がせてスマホで撮影し、韓国のコミュニティサイト「日刊ベスト(イルべ)」に彼女の裸の写真を投稿。

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 その投稿を見た人たちが、「早く次の写真をアップしろ」「胸と顔の見える写真が欲しい」などとコメントすると、被告は「リアルタイムすし女実況」と題した写真を次々と投稿していった。その間、女性は酒に酔ってベッドの上に横たわっていただけだったという。

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 投稿を見た人が警察に通報。男は韓国に帰国直後に逮捕され、犯行から2年近く経過した22年3月、執行猶予付き有罪判決が下されたのだ。

盗撮に厳しい韓国社会で、なぜ執行猶予がついたのか

 昨今の韓国は盗撮犯罪に対して「被害者のみならず、社会に及ぼす害悪が大きい」として、厳しい態度でのぞんでいる。インターネットやSNSで共有しなくても、盗撮しただけで厳しい処罰が下される。実際、今年2月にも、ある小学校の校長が懲役2年の実刑を言い渡された。校内の女子トイレに小型カメラを密かに設置して撮影した疑いだった。

 ところがだ。今回、日本人女性を盗撮した被告には執行猶予がついている。なぜ、“軽い”量刑が下されたのか。

 実は、この事件の被害者である日本人女性は、裁判が終結した今もどこの誰だか特定されていない。