日本を代表する飛行場をみっつ挙げろと言われれば、羽田・成田・関空であろう。2022年度のお客の数でいえば福岡空港が羽田・成田に次いで第3位に入っているが、これはコロナ禍の影響で外国人の入国が少なかったから。コロナ禍前の2019年度でみれば、羽田・成田・関空の3空港がぶっちぎりである。これらみっつの空港の存在感は、いまさらここで語るまでもない。

 羽田はともかく、成田や関空は“遠すぎる”と言われることも多い。確かに、東京や大阪の都心からはだいぶ距離がある。ただ、その距離を補うべく、ちゃんと鉄道が通っている。成田にはJRと京成が、関空には同じくJRと南海が。どちらも特急列車を走らせて、利便性を確保している。感覚的には羽田よりも成田の方が近いと感じる人も少なくないのではなかろうか。

東京から1時間とちょっと…“ナゾの空港の駅”「成田」には何がある?

成田と関空、2つの空港の「共通していること」

 成田と関空で共通していることは、もともと近くを通っていた鉄道から支線として線路を分岐させて空港アクセスを実現した点だ。つまり、たまたま運のいいことに、少し線路を分岐させて新設すれば空港に直結できる場所に、鉄道が通っていたということになる。

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 運がよかったのか、それともそれくらいは事前に考えられていたのかはわからないが、とにかく鉄道が通っているかどうかで空港の利便性は大きく変わる。成田・関空がベストスリーに入ることができたのは、すっかりこれらの鉄道アクセスによるものといっていい。

 JR・私鉄ともに本線から分岐する根本の駅はそれぞれ異なっているが、ここではJRのお話をしよう(ちなみに京成の場合は本線がそのまま延伸して空港に乗り入れた形である)。

“ナゾの空港の駅”「成田」には何がある?

 成田空港への分岐は成田線の成田駅、関空は阪和線の日根野駅である。これはもう、どちらもナゾの駅といっていいのではないか。いったいなぜ、そんな都合の良い場所に駅があったのか。どうしてその場所が空港への分岐、根本の駅になったのか。そしてその駅には何があるのか——。

 ずいぶん前に、実は日根野駅には訪れている。なので、今回は成田空港の根本の駅、つまり“成田空港の日根野駅”こと成田駅に行くことにした。東京都心から成田空港へは、特急「成田エクスプレス」が走っている。ただ、この特急は空港アクセスに徹していて、根本の成田駅にはほとんど停まってくれない。

 だから空港まで行ってから折り返す(その場合はちゃんと折り返し分の運賃が必要なので注意しましょうね)か、諦めて鈍行列車の旅を決め込むか。通り過ぎるのはどことなくシャクなので、のんびりと鈍行列車で成田駅を目指した。