東京から1時間とちょっと…「成田」についてみると…
成田駅は、JR成田線の駅である。成田線は佐倉駅で総武本線と分かれ、成田や佐原を経て利根川沿いを走って銚子までを結ぶ路線だ。加えて空港への支線と我孫子~成田間を結ぶ支線を持つ。つまり、成田駅は成田線の本線とふたつの支線が交錯する要衝の地、ということになる。
そんな成田駅まで、千葉駅からは約30分、東京駅からは1時間15分ほどの旅である。幸いなのは、東京方面から成田空港への直通列車がたくさん走っていて、どこかで乗り換えたりする必要がないことだろうか。
かくして成田駅に到着する。さすが、成田線の本線と支線がぎゅっと集まるターミナルだけあって、3面5線のホームを持つ立派な駅だ。
線路は掘割の中に敷かれているようで、橋上の駅舎に出るとそのままノンステップで外に出る。人の流れを見ると、だいたい「参道口」と呼ばれる東口に向かっている。なので、成田駅の表玄関は東口なのだろう。
人の流れに乗って東口に出る。駅前から伸びているのが…
東口に出ると、これまた立派な駅前広場。広場の傍らには真新しい複合ビルが建っていて、バス乗り場には列もできている。その奥には何やら燈籠のようなものも見えるし、「京成成田駅」の案内表示も見える。
成田線と同じく空港に乗り入れている京成線も、成田の町にターミナルを持っているのだ。JRの成田駅から京成の成田駅までは、駅前広場を越えて少し歩くだけ。時間にして5分くらいといったところか。
ここまで来てJRと京成を乗り換えようという人がたくさんいるとは思えないが、少なくともどちらの駅も立派なターミナルらしい風格を備える。京成成田駅前にもドトールコーヒーや餃子の王将などがあって、賑わいぶりはJR側に負けてはいない。地元の人もいるし、観光客の姿も目立つ。空港が近いからか、外国人も多い。
そして、そんなふたつの成田駅が近接している駅前から、北東に向かって伸びているのが「参道」である。何の参道かというと、成田山新勝寺。初詣では200万人以上が参拝するという、不動明王信仰の拠点のお寺だ。そう、何も知らないフリをしていたが、成田駅は日根野駅のように“何もない”駅ではない。成田山新勝寺という、名高い古刹の鎮座する信仰の町、なのだ。
実際に、成田駅・京成成田駅に降り立った人の大半は、参道に向かって流れてゆく。地元の人は自宅のある方面にでも向かうのだろうが、わざわざ成田駅にやってきた人の目的はだいたいが成田山新勝寺なのだ。
参道は、いかにも典型的な古刹の参道らしい雰囲気と賑わい。訪れたことがない人にもわかりやすく説明するならば、京都の清水寺前の清水坂、または伊勢神宮のおかげ横丁を思い浮かべてもらえればいい。