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取材班は事件発覚前、石山容疑者に“疑惑”の真相を尋ねていた

 結局、石山容疑者とプロルート元会長、元社長の3人は共謀して、子会社化したグッズ会社に1億円の架空売上を計上。プロルートは赤字だったが、この粉飾で黒字化している。さらに、筆頭株主だった石山氏は粉飾した決算書が提出された約2カ月後、株価が上昇したタイミングで一気に株を売却し、巨額の利益を得ていたとされる。

桜井和寿 ©文藝春秋

 国民的ロックバンドの事務所に捜索が入り、上場企業の元会長と元社長までもが逮捕されるという異例の展開。取材班は事件発覚前の今年8月20日、逮捕前の石山容疑者に“疑惑”の真相を尋ねるべく、東京都港区・芝大門近くの雑居ビルを訪れていた。

 当日は最高気温が35度を超える猛暑日で、袖をまくりながら取材班の前に姿を現した石山容疑者は、家宅捜索が会社に入ったことなどを即座に認めた後、「知っていることは全て答えます」と少し緊張した面持ちで、こう話を切り出した。

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谷口氏とは人の紹介で知り合い、10年前からの仲

「私はまともに金融をやっているつもりですし、家宅捜索後に聴取を受けた9カ月間、調書の1枚も巻かれていません。自分でいうのもなんですが、私の主張はロジカルでそれなりの説得力があると思う。捜査の聴取でも証拠を見せられたことは一度もないし、『出してください』とこちらがいっても、向こうは出せないのが現実です」

 自らの潔白について、絶対の自信を持って語る石山容疑者。谷口氏との出会いについては、こう振り返った。

「谷口さんは人の紹介で知り合って、10年前からの仲です。私がコンサル会社を起ち上げる前から知っている。ミスチルという規模のアーティストとしっかり向き合って信頼を勝ち得ている意味で、ビジネスマンとして優秀だったんじゃないかな……。元々は数カ月に1回の仕事の絡みでしたが、この件があってから頻繁に会うようになりましたね。私が子会社化の話を持ちかけた時は、谷口さんはよく理解していない印象でした」