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「リアリズム」「本物感」を志向するゆえか、ジブリパークではほとんどの展示物にさわってかまわないことになっている。ほかのテーマパークにはない特長だ。

「テーマパークというのは、意外に身体を使っていないものです。ライドに乗って全身揺られたりはしますが、実際は視覚的刺激がいちばん強い。

 ジブリパークの場合はちょっと違います。公園なのでたくさん歩くことになるし、いろんなものにさわることで、体験の密度や満足感が上がると思うんです。

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子どもだけが中に入ることができる、トトロを模した「どんどこ堂」。土でできており、そのさわり心地も魅力だ ©杉山拓也/文藝春秋

「壊れたら直せばいい」という発想

 多くの施設でさわるのを禁止するのは、『事故があってはいけない』『壊れたら困る』といった管理上の理由でしょうけど、ジブリパークでは、壊れたら直せばいいと発想します。直すのに多少の手間はかかるけれど、考えたらそんな大したことじゃありませんから。

 昔の家屋なんて、使い古した畳は取り替えて、傷んだ襖は張り替えたものです。ジブリパークはそうした考えのもと維持していきたいと思っています」

©杉山拓也/文藝春秋

 来春には「魔女の谷」もオープンして、ジブリパークの全体像が姿を現す予定だ。既存の愛・地球博記念公園に溶け込み一体化したかたちなので、気負わず公園をブラブラ歩き、各エリア内をウロウロしながら、ジブリの世界観をほのかに感じ取るのが、楽しみ方のひとつだろう。

 ジブリパークが掲げる「ゆっくりきて下さい。」とのキャッチフレーズが、その場に身を置くと、すんなり胸に落ちるのだった。

©︎Studio Ghibli