1ページ目から読む
4/5ページ目

スタジオジブリの存在が重石のように感じることも

「父・宮﨑駿」や「スタジオジブリ」とは、やはり相当に重い存在なのか。

「若いころはそりゃ重かったです。どこへ行っても『宮﨑駿監督の息子さんなんですね』と言われてきましたし。ましてや同じスタジオにいて何かをつくっていたら、常に比較されてしまうわけです。すこしは慣れたとはいえ、重さはいまも感じ続けています。

 もちろん愛着はあるが、背負わされた重石のように感じることもある。これから先、足抜けできることはあるんだろうか? などと漠然と考えたりしてしまいます」

ADVERTISEMENT

©杉山拓也/文藝春秋

何をどうすれば、ジブリを後継したことになるのか

 そのスタジオジブリは先般9月21日に会見を開き、日本テレビの子会社となることを発表した。大きい資本のもとで経営面の安定を図るねらいがあるとのこと。会見では鈴木敏夫プロデューサーが後継者問題にも触れ、以前から宮崎吾朗が候補に挙がっていたものの話がまとまらなかったことも、子会社化へ至る要因になったと述べた。名前が取り沙汰された当人は、この動きをどう受け止めているか。

「報道の通り、後継者となることは固辞しました。映画をつくるという面だけでもなかなか追いつけないというのに、さらに経営的なところまでやってくれと水を向けられてもそれは無理です。自分が何人いたって足りやしない、さすがに引き受けられないとはっきり言いました。

 そもそも僕には、スタジオジブリに後継者が存在し得るのか、はなはだ疑問でした。どうすれば、何をすれば、ジブリを後継したことになるのか……。

©杉山拓也/文藝春秋

 少なくとも現時点で、宮﨑駿はまだまだ創作意欲に満ちていて、現役を退く様子はありません。宮﨑駿がやるということは、コンビを組んできた鈴木敏夫もプロデューサーを続けるということです。ジブリをつくった2人が『まだやる』と言っているのですから、いまのところ後継への具体的な動きはありません」