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子会社化してもやることは何も変わらない

「そもそも彼らには、自分を継がせるつもりなどハナからないんじゃないか。宮﨑も鈴木も、たまに引退したいなどと口にしつつも、本心ではずっと『ジブリはオレのものだ』と思っているんです。人に渡したり、継がせたりするつもりはさらさらなさそうに見える。

 だからこちらとしては、どうぞやれるところまでやってください、最後まで付き合いますからとしか言いようがありません。

 今回の子会社化の動きも、後継のかたちを決めたというよりは、『オレたちはまだまだやるが、年齢のこともあり若干の不安があるので、後ろで支えてくれる存在を見つけてきた』ということだと僕は理解しています。

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©杉山拓也/文藝春秋

 実際のところ子会社化しても、こちらがやることは何も変わりません。僕のほうでは、ジブリパークとジブリ美術館をしっかりつくり運営していくことに、引き続き専念していきます。映画づくりについては当面、『まだオレがやるんだ』と言っている方々に任せておくこととしましょう。

「おわり」を越えて、ジブリの作品づくりは続いていく

『君たちはどう生きるか』が、宮﨑駿の最後の作品になるのではなかったのか、ですか? いえ、違うと思います。なにしろあの映画、ラストカットに『おわり』という文字が出てきません。

 これまでの宮﨑駿作品にはきっと『おわり』の文字や『おしまい』といった文言が書いてあったのに。たまたまなのかあえて省いてあるのか、なんだか怖くていまだ問うてみたこともありませんが。

©杉山拓也/文藝春秋

 ジブリパークにしても、5つのエリアがすべて完成すれば『おわり』というわけではなくて、そこから訪れてくれる人とともに場が育っていく。そうやっていろんな方向に芽を伸ばしながら、ジブリの作品づくりは続いていくのだと思います」

©︎Studio Ghibli