女性として生まれ男性になった歩夢さん(31)と、男性として生まれて女性になった未悠さん(28)。2人は2020年に結婚し、現在は「性別逆転夫婦」としてSNSや講演などで活動している。
物心ついた時から自分の性別に違和感があったという2人だが、どんな幼少期を過ごし、どのように性別適合手術を決断したのか。そして両親へのカミングアウトで迎えた修羅場、意外な恋愛事情も……。
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――おふたりの出会いはどういう形だったんですか?
歩夢 2017年に大阪で開かれた「誰でも結婚式を挙げられるようにしよう」みたいなイベントでした。ヒアリングのためにマイノリティ当事者が10人ちょっと集まっていて、そこに2人とも参加していたのが出会いでした。
――互いの第一印象は?
歩夢 男性から性転換したMtF(Male to Female)の方ってはるな愛さんとかテレビでは見たことがあったけど、実はそれまで会ったことがなくて、どんな人がおるんやろと思って会場へ行ったら未悠がいました。それで「こんな綺麗な人がいるんだ」と驚いたのが第一印象ですね。
未悠 私も緊張してて、周りの人と「はじめまして、どんなお仕事してるんですか」とか話してたんですよ。そうしたら歩夢にいきなり「綺麗ですね」って言われて、びっくりしたのが第一印象(笑)。当時の歩夢はヒゲがボーボーで、私はヒゲが生えてる人が好きなので「いいじゃん」みたいな感じだったと思います。
『「やっぱり子供が作れない人とは将来を考えられない」って』
――そこからすぐに仲良く?
歩夢 当時は住んでた場所がどちらも兵庫で近かったので一緒に遊ぶようになって、付き合い始めたのも結構すぐでしたね。
――お互いにMtF、FtMの方と付き合うのは初めてでしたか?
未悠 それはどっちも初めてでしたね。私は20歳で手術を受けてから何人か男性の方とお付き合いはしてたんですけど、ちょっと精神的にキツくなってきてたんですよね。私のことを女性だと思って好きになってくれて付き合うことになっても、どこかで以前は男性だったことをカミングアウトする必要があるじゃないですか。そうすると、みんな本当に同じ反応をするんですよ。「やっぱり子供が作れない人とは将来を考えられない」って。
――それは苦しいですね……。
未悠 最初はやっぱり傷つきました。「もっと女らしくならなきゃ」と自分を責めた時期もあるんですけど、あまりにもみんな同じことを言うので段々男性のことが信じられなくなってきて、「この人もどうせ同じことを言うのかな」って思うようになりかけてたんですよね。なんなら途中からは「おめでとうございます、あなたは私にそれを言った何人目です!」みたいな気持ちにもなって。