女性として生まれ男性になった歩夢さん(31)と、男性として生まれて女性になった未悠さん(28)。2人は2020年に結婚し、現在は「性別逆転夫婦」としてSNSや講演などで活動している。

 物心ついた時から自分の性別に違和感があったという2人だが、どんな幼少期を過ごし、どのように性別適合手術を決断したのか。そして両親へのカミングアウトで迎えた修羅場、意外な恋愛事情も…。

 まずは女性として生まれて、男性になったいわゆるFtMの歩夢さんに話を聞いた。

ADVERTISEMENT

▼▼▼

――歩夢さんはどんなお子さんだったんですか?

 

歩夢 小さい頃は、男の子の中に自分1人だけ混ざって遊ぶ女の子でした。洋服はスカートじゃなくて絶対ズボン、髪の毛も天パで短くて、野球とかどろんこ遊びとか大好き。イチロー選手のフォームをマネしたり。喋り方も「遊び行こうぜ」みたいな感じで自分が男子なことを疑ったこともありませんでした。

――自身の性別に違和感を持つようになったのはいつ頃ですか?

歩夢 トイレに行くときに男子用に行くのか女子用に行くのかをジロジロ見られる感覚は結構小さいころからあって、トイレに行くこと自体が嫌になっていました。でも決定的だったのは、小学5年生で月経が来た時でした。自分の世界が全部崩れたような感じで。

「『お前は女子だぞ』と突きつけられた感覚でした」

小学生の頃の歩夢さん

――月経は確かに大きいですね。

歩夢 自分では自分のことを完全に男子だと思っているのに、身体の方から「お前は女子だぞ」と突きつけられた感覚です。自分は何者なんだろう、っていう悩みも同時に生まれました。その頃には同級生たちも恋愛の話で盛り上がるようになりますし。

――初恋の相手も女子でしたか?

歩夢 たぶん、ですね。ボーイッシュな女の子を目で追うような感じで、それがどういう感情なのか当時はよくわかってなかった気がします。自分に近い仲間だと思っていた気もするし、恋愛感情だった気もするし。「ああ自分は女の子が好きなんだ」とはっきり気づいたのは中学生になってからでした。