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歩夢 そうですね。専門学校では初めての彼女もできて、その彼女に背中を押されて「本当のことを言いたい」と思うようになって18歳の時にカミングアウトしました。最初は全く受け入れてもらえませんでしたけど。

――どういうことでしょう。

歩夢 ちょっと話があるからって言って、両親と向き合って正座して「僕、はるな愛さんの反対バージョンかもしれへん」と。その瞬間、父親は泣き崩れて、母親はすぐに理解ができなくて笑っていました。

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――重い空気ですね……。

歩夢 その日は話し合いもできないまま時間が過ぎて「バイトがあるから行くね」って言って、無言の親を残して家を出ました。でもバイト先に向かう電車に乗ったらすぐに両親からメールが来ました。父は「お前が帰ってくる家はここだけや、これからはお前を男として育てていく」という感じだったのですが、母は「世間体が気になるからしばらく帰ってこんといて」と。

手術後もまだ親に「受け入れられた」自信はなかった

――厳しい反応です。「しばらく」はいつ頃まで続いたんでしょう。

歩夢 それでもたまには実家に戻っていたんですが、帰っても性別の話はまったくせずに世間話をするような感じで。母親もずっとよそよそしくて緊張感がすごかったです。でも僕自身の決意はもう男性として生きていくことで固まっていたので、20歳になったらすぐに大阪の病院で性別適合手術を受けようと思って、その準備を本格的に始めました。

 

――手術に親の同意などはいるんですか?

歩夢 20歳になれば親の同意がなくても手術自体は受けられるんですけど、その前にカウンセリングなどが必要で、それに親の同意がいるんですよね。同意書を書いてもらうために何度も頼んで、最後まで完全に納得してくれたわけではなかったんですが、ある日机の上にサインした紙が置いてありました。

――そして20歳で手術を受けた。

歩夢 そうですね。その時はさすがに母親もお見舞いに来てくれましたけど、「受け入れてもらえた」という感覚はまだなかった気がします。でも20歳で手術を受けて、21歳になる前には戸籍上も男性になりました。やっと自分になれた、という感覚がすごかったですね。