幻覚キノコを求めて、わざわざ沖縄最西端の島・与那国島に訪れる観光客も……違法薬物にハマる若者が後を絶たない「沖縄のリアル」をお届け。

 作家の神里純平による、一部の県民のみぞ知るディープな沖縄情報を満載した『最新版 沖縄 裏の歩き方』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

沖縄で違法薬物にハマる若者が後を絶たない理由とは? 写真はイメージ ©getty

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 2016年の10月、女優の高樹沙耶が大麻取締法違反の疑いで逮捕された。

 彼女が住んでいた石垣島には、知る人ぞ知る大麻の自生場所がある。沖縄では、過去に高校生が大麻取締法違反で逮捕されているし、大麻入りクッキーを作って逮捕される者もいた。警察の監視の目が届きにくいと思っているのか、けっこう大胆に栽培をする人が少なくないようだ。

 今回の事件は、芸能人逮捕と石垣島という特殊な環境が重なった珍しい事例であるが、沖縄本島においても、薬物は無視できないほど蔓延している。そこでこの項では、県内の薬物事情はどうなっているのかということを話したい。

若者には大麻が人気

 いま、沖縄も他県にもれず、大麻が大流行している。その昔にシンナーが大流行したときも、乱用者はかなりの数にのぼった。しかしそのときよりも、大麻の使用者は多くいるように感じる。実際、摘発者数は増加の一途をたどっている。

 沖縄県警によると、大麻の摘発数は、2015年には57人だったが、2018年には81人、2021年になると149人にまで増えた。

沖縄県における違法薬物の検挙数推移

 大麻はシンナーよりも、圧倒的に罪が重い。にもかかわらず、乱用者が増えているのはなぜか? 沖縄県警は、以下のように分析している。

・「大麻は身体への悪影響がない」「依存性がない」などの誤った情報が氾濫している

 

・覚醒剤などの他の違法薬物と比べてネガティブなイメージが低い

 そんな馬鹿な、と思ってしまうが、本気で信じている者もいるようだ。とくに10代、20代の若者に顕著で、彼らの間で大麻人気は加速し続けている。

 大麻は覚醒剤よりも安価に購入できるし、なんと言っても栽培して増やすことができる。それに最近では、ベイプタイプのおしゃれな見た目の大麻もある。入手しやすくファッション感覚で手を出せるということで、若者にとってハードルが低いのだろう。