次期CEOに指名されたのは…
イーロンのツイッターはとにかく仕事が素人。アメリカのNPR(アメリカ公共ラジオ)やPBS(公共テレビ放送)、イギリスのBBCのツイッターアカウントを「国家資金運営」と分類して、各社から抗議された。これらのメディアは政権からの圧力に左右されないよう、BBCは受信料、NPRやPBSは寄付で運営している。NPRとPBSはツイッターから脱退した。
こんな運営だから、イーロン・マスクがCEOになってから、ツイッターの広告クライアント上位1000社のうち半分以上が広告を止めた。
批判を浴び続けるイーロンは去年12月18日、自分はツイッターのCEOを辞めるべきか続けるべきか、ツイッターユーザーの投票に委ねると宣言した。「なんだかんだ言われても自分は人気者だから」という自信があったのかもしれないが、1750万票以上の投票で、57・5%がイーロンのツイッターCEO辞任に賛成した。その後、12月28日にイーロンは「自分は多くの失敗をした」と認めた。
それから半年近く経って、ついに次期CEOが決定した。リンダ・ヤッカリーノ氏は1963年生まれ。彼女は、NBCテレビとユニバーサル映画を収めるNBCユニバーサル社の広告担当として成果を上げており、ツイッターが失ったクライアントを取り戻すことを期待されている。
だが、この人事は「Glass Cliff(ガラスの崖)」ではないか、と評する人も多い。
企業の先行きが危うくなると、なぜか女性が…
もともと「Glass Ceiling(ガラスの天井)」という言葉がある。女性や少数民族が企業の中で頑張って、出世の階段を上がって行っても幹部や役員、経営陣にはなれないことを、見えない天井に譬えた言葉。ところが、その企業が崖っぷちに追い詰められた時、なぜか女性や少数民族が経営陣に抜擢されることが多い。
それを「ガラスの崖」と呼んだのは、2004年、英エクセター大学のミッシェル・ライアン教授とアレックス・ハスラム教授で、英米の多くの企業を調査し、約120人を対象にアンケートを取ったことで、実際に企業の先行きが危うくなると女性や少数民族に経営を任せる率が高いことを検証した。
その理由としてポジティヴなのは、女性や少数民族は危機を突破する画期的なアイデアを出すことを期待されるから。