定期的にネットニュースを賑わす話題のひとつに、“青海と青梅を間違えちゃったアイドル”というものがある。わざわざ説明するまでもなさそうだが、東京・湾岸部のお台場にある青海(あおみ)と、同じ東京ではあるものの海とはまったく無縁の山の入り口、青梅(おうめ)を間違えて、ライブに出られなくなりました、というほのぼの系エピソード。

 まあ、個人的にはそんな間違いをする人などいるのかと思う。遅刻の言い訳の定番、みたいなものではないのか、それとも天然アピールか、などと。ただ、逆に人は思わぬ間違いをすることもよくあるもの。本当に青海と青梅を間違えちゃったのだとしたら、遅刻の言い訳などといってしまってごめんなさい。とにもかくにも、乗り換え案内アプリなどを使うときにも、よくよく目的の駅を間違えていないか確認することが肝要である。

中央線“ナゾの終着駅”「青梅」には何がある?

 

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中央線“ナゾの終着駅”「青梅」には何がある?

 さて、“間違えちゃった駅”として登場する青梅駅。こういう文脈で出てくるときは、だいぶ遠い山の奥のようなイメージで語られるが、意外と東京都心からも近い。中央線の立川駅から青梅線に乗り換えてだいたい30分ちょっと。1時間に3~4本くらいは東京駅から青梅駅まで直通する電車が走っているし、「青梅特快」や特急「おうめ」といった列車もある。

今回の路線図。快速電車を使えば東京から1時間20分ほどの場所にある「青梅」

 快速電車なら、東京駅から青梅駅まで1時間20分くらい。遠いというなら遠いし、「間違えちゃってこんなところまで来ました」というほど遠くもない、といったところだろうか。

 また、電車ではなくクルマ派、という方々には、青梅街道の名が知られる。新宿で甲州街道から分岐して、中野坂上や荻窪、小平などを通って西に向かう東京都内を代表する大通りのひとつだ。新宿の、あの大ガードは青梅街道と山手線や中央線が交差する地点である。実際にそこまで行くかどうかは別問題として、青梅街道はその名の通り青梅を目指す。

 

 かくのごとく、「青梅」という町は決してただ間違えちゃって行ってしまうだけの町などではない。大きな道も鉄道も、東京都心から一直線に繋がっている、なかなか存在感の大きな町なのだ(だからこそ、間違えるわけないじゃん、と思ってしまうのだが、それはそれ)。

 今回やってきたのは、そんな青梅の町である。立川駅から青梅線に揺られ、多摩川沿いを北西へ。途中、拝島駅では五日市線と八高線、西武拝島線と接続する。さらに米軍基地(横田基地)の町である福生や羽村を抜けると青梅市に。