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実際に出資した男性は…「不思議な魅力があった」

 約束した金が支払われないことに債権者らは不安を抱えていたようだが、船越容疑者にはどこか人を信用させてしまう不思議な魅力があったと、被害者の一人は語る。

「船越さんとは人の紹介で3年ほど前に知り合いました。いわゆる“ザ・詐欺師”のような派手なブランドをじゃらじゃら着けて歩き回る出で立ちではなく、高級スーツをしっかりと着こなせる、育ちの良いエリートという印象でした。

船越洋平容疑者(本人のFacebookより)

 食事の席でも自分からベラベラと話を振るタイプではなく、むしろ控えめで目上の人間を立てるのがうまいタイプ。一緒にいて悪い気は全くしなかったです。妻子もいて有名企業の出身だと自称し、皆の節税対策になるような金の運用が得意だと話していました。いつも忙しそうな雰囲気で、高級ホテルや六本木ヒルズにある貸しオフィスで時間をとってもらい、打合せをすることが多かったですね」

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 逮捕の1年前に公開されたWantedlyのインタビュー記事では、小さい頃はサッカーに夢中で、大学時代に起業したことなど、自らの半生を明かしたほか、途上国への人道支援についての熱い思いや、コンゴへの支援活動の抱負についても言葉を残しており、まさに絵に描いたような余裕ある成功者と見える。 

経営者仲間からも信頼はあったという(本人のInstagramより)

数千万の金を渡した人も

「実際、自信満々で雰囲気に余裕があるんですよ。みんな『金が払われないのでおかしい』と思うんですけど、『お金は払いますので、起こしたければ訴訟を起こしてもらっても大丈夫です』とか、金を払わなければこちらに有利な条件にする契約書を巻き直すといっても、『承知いたしました』といって、簡単にハンコを押すんです。

 帰り道には債権者の間で『なんか船越くんは信用できてしまうんだよなぁ』と違和感を話し合ったこともありました。賢くて騙されそうにない名の知れた人や役職のある人も債権者には名をつらねていた。彼らを騙し通せたのは、相当な力量があったからだと思います。数千万の金を渡した人もいましたし」(同前)