これが面白かったのは、今この時期にわざわざ石破氏に聞きに行く文春の野次馬の嗅覚であり、期待に応えて張り切る石破氏本人という構図である。
張り切り出した「非主流派」
実は最近になって石破茂という名前をまた新聞各紙で見るようになっていた。こんな記事もあった。
『非主流派、うねり起こすか 「石破―菅―二階」復権うかがい近づく3氏』(朝日新聞10月22日)
岸田政権の誕生によって「非主流」となった菅義偉氏と二階俊博氏だが、また動きが活発になってきたというもの。二階派幹部は来秋の総裁選をにらんだ動きを始めつつあることを隠さない。「近く菅氏、石破氏を交えた食事会を開く」とも。
石破氏は最近の各社の世論調査で「次の首相候補」で首位に躍進している。岸田首相は菅、二階、石破をそれぞれ取り込もうとするが彼ら3人の「非主流派はうねりを起こすのか?」という政局記事なのだ。
策士策に溺れる
さて政局記事を振り返るなら、岸田首相が来年の総裁選を迎えるまでに解散総選挙をおこないたい理由である。それは選挙に勝って総裁選を無風、もしくは無投票で乗り切るためという解説が新聞ではなされてきた。
しかし石破氏は張り切りだした。この時点ですでに岸田首相の総裁選戦略は崩れつつある。内閣改造で河野太郎や高市早苗らライバルの取り込みだ、減税だ、議論は先送りだ、と策を弄してきたのにこれでは策士策に溺れるという様相である。
不支持率の高さといい、自民党内の不穏な動きといい、確実に首相周辺には異変が起きている。「減税」のニュースを追うと余計なものまで見えてきてしまうのだ。
所信表明では「不撓不屈」、9月の記者会見では「一意専心」。岸田首相はかつて貴乃花や若乃花が用いた口上を使うのを好むが、求められているのは堂々と議論する横綱相撲では?