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 沖縄の離婚率が上昇したのは、1980年後代以降のことではないだろうか。

 他県もそうだろうが、一昔前の世代はみな子だくさんであった。昭和20年代に生まれた先輩方は、ほとんどが大家族だっただろう。

 そのせいか、母に話を聞くと当時はいまよりもずっと家長の意見が強かったという。

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出戻りしやすい家庭環境

 沖縄では高齢者は神に近い存在として、尊重する習わしがある。とくに家族の中で一番の高齢者である祖父母の意見は絶対で、昔は逆らえない風潮があったそうだ。

 幼い頃、母に連れられ、2人で母方の実家に帰ったことがある。そのとき、母は泣いていたように思う。おそらく、母は父と離婚するつもりで実家に帰ったのだろう。祖父は「自分で選んだ人なんだから、我慢しなさい。明日には帰りなさい」と母を諭していたのを覚えている。

 私の母親ぐらいの世代の女性は、多かれ少なかれ、結婚後に苦労をしている。

 そうした苦労を娘に背負わせたくないからか、「嫌になったら、すぐに帰ってきなさい」という母親が増えているように感じる。父親たちも若い頃に家庭を顧みなかったことが災いして、定年退職後に家で肩身の狭い思いをしている者も多い。娘が帰ってくれば、ぴりぴりとした家庭の雰囲気も和らぐため、娘の出戻りを喜ぶのだ。

 娘にとっても、若い夫と暮らすよりも実家で暮らした方が生活が安定する。子どもの面倒を親が見てくれるので遊びにだっていける。だったら頼りにならない夫と縁を切って、さっさと実家に戻った方がいい。沖縄にはそんな離婚を決断しやすい環境があるのだ。

辛くさびしい獄中離婚

 私見ではあるが、沖縄の離婚率を上昇させている理由のひとつに、獄中離婚もあるのではないかと思っている。沖縄は離婚率だけでなく、飲酒運転の検挙率も全国ナンバーワンだ。

 沖縄刑務所は飲酒運転で服役している者が異常に多い。私が入所したときには、飲酒運転が原因で服役中の者が200名近くはいたかもしれない。妻に愛想をつかされ、獄中離婚を迫られる者を何人も見た。

 私の罪状は飲酒運転ではなかったが、私も獄中離婚を経験したひとりだ。