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服役中、唯一の社会との接点といえば面会である。あるとき、私は息子の顔が見たくなったので、妻に連れてきてくれるよう頼んでみた。
数日後、妻は頼んだ通り、息子を連れて面会にきた。
息子はまだ保育園に入ったばかりで、なぜ私とアクリル板越しに会話しているのか、理解できていないようだった。私はそんな息子を傷つけないよう「パパは仕事でここにいるんだよ」と言ってごまかした。出たらまっとうな生き方をする。息子の目を見てそう誓ったものだ。
後日、妻から手紙と一緒に離婚届が送られてきた。
手紙によると、面会に行ってから、息子がバドミントンのラケットを顔にあて「パパのマネ」とやりだしたそうだ。さらに保育園では「パパの会社はとても大きいんだよ」などと他の園児に自慢していたらしい。妻はその姿を見て、教育に悪いと離婚を決断したのだという。
そう言われては返す言葉もない。待つ方も疲れるということだろう。
離婚も一度くらいなら…
日本はいま急激な少子高齢化問題に直面している。沖縄は離婚率は高いが、出生率も全国でずば抜けて高い。離婚は子どもにとって不幸であるが、子づくりに励む沖縄の若いカップルたちは少子高齢化問題の救世主とも言えなくもない。
本音を言えば、いまの時代、一度ぐらいは離婚してもいいのではないかと思うのだが……そう思うのは男の身勝手な意見だろうか。