長谷部健渋谷区長から発された「ハロウィン目的で渋谷に来ないでほしい」というメッセージ。そして警察による厳戒な警備体制等によって、ハロウィン直前の週末となる10月28日の渋谷の人出は例年に比べて激減していた。
“本番”を迎えた10月31日。街はいったいどのような様相を呈していたのか。現地に集った人々の声とともに紹介する。
◆◆◆
いまは野外調教をしてもらっている途中です
平日ということもあってか、日没前の渋谷には、さほどコスプレ姿の人は見られない。しかし、夜が深まるにつれて街の様子は次第に変わっていった。
「いまはプレイの一環、野外調教をしてもらっている途中です。ハロウィンは昔に比べるとひっそりした感じになっちゃったけど、それはそれで楽しいですね。なぜかというと、女王様が一緒なので」
コスプレをしている人自体は例年に比べて少ないものの、いつもの渋谷では見られない異様な状況が確かにあった。
こうした渋谷の街を、来街する若者はどう思っているのか。
「あんま規制とか関係ないし、迷惑さえかけなきゃいいと思っているんですよ、僕は」という側頭部にタトゥーシールをあしらった男性。続けて、同行者が語る。
「一年に一回のことですから。今日も大騒動にはなっていないですし、みんなと楽しめれば。お酒を飲まなかったり、立ち止まったりせずにね。
いやー、正直お酒は飲めるようになった方が嬉しいは嬉しい。でも、守らなきゃいけない部分はあるので、そこはしっかり守ります。トラブルが起こらずに皆が平和に楽しめるのが一番ですね」
一方、異なる声も。青髪の男性は言う。
「ハロウィン歴10年以上なんですけど、コロナ以降は規制が厳しくなりすぎて、とにかくやりづらいですね。2015年頃は道玄坂とかが全部歩行者天国になっていたんですよ。区がこちらに歩み寄ってくれている感じだったんですけど、いつから突っぱねる感じになったのか……っていうのが。ちょっとこうなんでそうなるんですかね、っていうところです。やっぱり、軽トラ横転事故からなんですかね。
僕は遊びに来ている身なので、こう言うのはおかしいんですけど、ハロウィンを目的に渋谷に来ているわけではない人、たとえばこの辺りで働いている人とかに皺寄せがいくのはおかしいと思うんですよ。税金を使ってそこまですることなのかな?と思っちゃいます。
最近の渋谷って遊び場が減ってきていて。『ageha』も無くなりましたし、クラブはどんどん潰れています。このままだと、渋谷がどんどん窮屈な街になっちゃいますよ」
来街者一人ひとりにも、さまざまな腹の中があることが窺える。