「5,6年くらい渋谷の清掃をしています。今年は区の取り組みもあってか、一番ひどい時期に比べると全然少ないです。平日の夜と同じくらいのゴミの量ですね。
騒動やゴミという面で、今年のハロウィンはずいぶんマシになりました。とはいえ、施策には税金がかかっちゃってるわけで、区民に嫌な気持ちが生まれてしまう限りは渋谷ハロウィンを肯定的に捉えてもらうのは難しいですよね。5年、10年かかるかもしれないですけど、一旦リセットして、新しいかたちでいいハロウィンがつくられていけばいいのかなと思います。そのためにできることのひとつとして、まずは街をきれいにしていければと」
渋谷という街、そして、ハロウィンのあり方を良くしていこうと考える人は彼だけではない。
渋谷センター商店街振興組合・宇田川町会常務理事の鈴木大輔氏、学生向けのコワーキングスペース運営を行う株式会社アントレキッズの共同創業者・太田可奈氏らにハロウィンを目的として来街する若者たちへの印象を聞いた。
批判するだけではなく、応援してあげないと
「渋谷ハロウィンの現状は『日本大丈夫かな?』って感じです。恥晒しを自分でしていることにすら気づいていない人たちがたくさんいますよね。
そうした状況に対して、今回の規制は“一石を投じた”ということなのではないでしょうか。ここから学んだものを次に活かしていくという段階だと思います。
区も、地域も『なんとかよくしよう』という考えで全力でやっているんです。どうにかしようとしていて、今年はこれだけ人が減ってトラブルが起きていない。それは事実ですよね。批判するだけではなく、応援してあげないとなかなかよくならないということを伝えたいです」
一方、渋谷駅近辺に店を構える飲食店店主は、周辺の経済に寄与するわけでもなく、対策費用だけがかさむ渋谷ハロウィンを嘆く。
「今日は全然この辺に人がいないですね。ハロウィンがあるから、あんまり渋谷に近づきたくないのかもしれないです。
今年の5月に店をオープンして今日が一番売り上げが悪いかもしれないくらい。隣の居酒屋も階上のバーも閉めているし、通りにも全然人がいないですよ。来年のハロウィンは営業形態を考えないとですね」(飲食店店主)
渋谷を訪れる若者、地域社会、地域経済、そして自治体。2023年時点では、それぞれが理想とするハロウィンに違いがある様子が窺えた。はたして、これから渋谷の街はどのように変化していくのだろうか。