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「テレビを壊して7回購入」「事件前日、家賃を初めて滞納」埼玉・立てこもり老人(86)が事件直前に見せていた「異変」

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ニュース, 社会

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「怒っている姿を見たことがない」付き合いの長い人間には気さくだった

 一方で、鈴木は付き合いの長い人間には気さくに接していた。逮捕時と変わらぬ黒ジャージ姿で原付に釣り具を積み、にこやかに荒川に向かうご機嫌な様子も目撃されていた。2005年から付き合いのあった電気屋の男性店主は鈴木の人柄をこう振り返る。

立てこもっていた鈴木容疑者(FNNプライムオンラインより)

「2005年の10月にカラーテレビを買いに来たのが付き合いの始まりで、その頃に1人で引っ越してきたんじゃないかな。2人用くらいの冷蔵庫やエアコン、洗濯機とか生活に必要なモノを一式買いにきてましたよ。『たくさん買うんだから負けてくれ』なんていうお客さんもいるけど、鈴木さんは真逆で、1万500円のDVDプレーヤーを買う時なんかは、1万1000円払って『釣りはいらねえ』って感じだった。怒っている姿を見たことがなくて、機嫌がいいと余計に払いたがる、親分肌でしたね。

 火事で燃えた部屋にも行ったことがありますが、食品のゴミが散らかっていてあんまり几帳面な感じはなかったかな。無精ひげもいつも伸ばしっぱなしで、ウチからシェーバーを買っていったこともあります。趣味はテレビ鑑賞だと話していて、本人は『テレビがないと寂しい、テレビがないといられない』と言ってました」

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2005年から付き合いのあった電器屋での購入履歴

 そんな大好きだったテレビを、鈴木が自宅から外に放り投げる姿は多くの近隣住民に目撃されていた。鈴木と同じアパートに住んでいた女性は当時の様子をこう話す。