11月6日、フィリピンを拠点にした特殊詐欺組織“ルフィグループ”のメンバーだった熊井ひとみ被告(26)の初公判が開かれた。熊井被告は、高齢女性に虚偽の電話をかけ、キャッシュカードを盗み、およそ410万円の現金を引き出した窃盗の罪に問われている。
法廷で弁護側は、共犯者との間に生まれた子どものために「服役させるべきではない」と主張。彼女に何が起きていたのか。その共犯者である藤田海里(24)の初公判を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出=2023年10月1日/年齢・肩書きは当時のまま)。
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今年5月24日午後3時半、フィリピンから成田空港に男女4人が降り立った。オーバーサイズの白色パーカーを目深に被り、ゆっくりと歩を進める女性は時折、腹部を気にする素振りを見せる。渡辺優樹(39)を頂点とする特殊詐欺組織“ルフィグループ”のメンバーだった熊井ひとみ(26)だ。
「この日、男女4人は金融庁職員や警察官などになりすまし、高齢女性宅に虚偽の電話をかけ、キャッシュカードを3~5枚盗んだ容疑で逮捕されました。彼らはフィリピン国内から詐欺の電話をかける“かけ子”として活動していたのです」(社会部記者)
熊井と共に逮捕されたのが、交際相手である藤田海里(24)。藤田は「オオクラ」と名乗り、3チームのうちの1つを束ねるグループリーダーを任されていた。逮捕後、藤田は取り調べに黙秘を貫いたが、9月26日に行われた初公判では一転。容疑を認め、詐欺グループの恐怖支配や、熊井との関係について饒舌に語った。
「内縁の妻で、熊井ひとみさんがいます」
東京地裁706号法廷の証言台に立った弁護人から「配偶者はいますか」と聞かれた藤田は「内縁の妻で、熊井ひとみさんがいます」と証言。続いて、次のように明かした。
「フィリピンに滞在している間は同棲していたんですが、子供の妊娠が発覚した今年1月頃からは『ずっと一緒に暮らしていこう』と思って」
そして前を見据え、こう宣言したのだ。
「罪を償ってから、その後、入籍したいなと思っています」