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「どんな生活をしていたか、ちょっと思い出せない」忙しさ

――その頃の足立さん自身のスケジュールを教えてください。

足立 編集だけじゃなく、音楽の打ち合わせやダビングの作業もあって、とにかく頭の中は映画のことでいっぱいだし、殺人的な忙しさだったんですよ。それもあってか、当時の記憶がほとんどないんですよね。どんな生活をしていたか、ちょっと思い出せない。その他にこまごました仕事もあるし、うちは家事育児は僕にしろ妻にしろどんなに忙しくても分担だし。分担なんて言い方もできないですよ。それが当たり前すぎて。

 当時、上の子は中3、下の子は小5で、下の子が『ブギウギ』の六郎みたいにわりとフリーダムな子なんですよ(笑)。学校に行かないこともあるし、休んだら僕の真横で延々と『バイオハザード』の話をしてたり。で、学校に行かないときはたいてい一緒に映画を観に行くし。

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――正直、泣きが入りませんでした?

足立 入りました。泣きどころか、夫婦仲も超ギスギスしちゃって。

 普段は家じゃなくて、喫茶店とかに行って書くんですよ。でも、息子が学校行かずに家にいると、なんか放っておけなくて出掛けられないんですよ。そのうえに映画の仕上げもあるし。

 妻はそのあたりが平気で、息子が学校休もうが出掛けられるタイプなんですよ。俺は過干渉だって(笑)。もう少し子供を信じろと。僕は自分自身がろくでもない子供だったから子供のことが信じられないのかもしれないですね(笑)。妻からは「家を出て書きゃいいだけじゃん」みたいなことピシャッと言われて「な、なんだよ……」みたいな。

 やっぱり朝ドラの忙しさは想像以上で、僕の家事育児が普段よりおろそかになりがちで、妻は妻で大変忙しい状況でもあったのに、僕は朝ドラまで手伝わせて。もう朝ドラ受けたら優しくするなんて言葉はなかったことになりましたね。夫婦の最大の危機になりました、マジに(笑)。

「やるからには、朝ドラに思いっきり染まろう」

――『ブギウギ』は笠置シヅ子という実在の人物をモデルにしたスズ子という女性の物語ですが、モデルありのほうが書きやすいですか? それとも、なにからなにまでオリジナルのほうが?

足立 笠置さんをそのまま書くわけじゃないので、わりとそこは自由が利きました。自分が面白いと感じるものと、朝ドラ的な面白さみたいなもののせめぎ合いはどこかで生じてくるだろうなと覚悟していました。

 最初の頃は「やるからには、清廉潔白な朝ドラに思いっきり染まってみよう」と思っていたんです。そのつもりだったけど、やっぱり書いていくと、どんな仕事でもそうですが自分が面白いと思うものを描いちゃうもんなんですよね。べつに我を通したいとかじゃなくて、それは何を書いても出てきちゃう。そういう部分は相談しながらやりました。

――放送済みのエピソードだと、どういった場面が「ちょっとどうですかね」にあたったのでしょう。