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――たしかに『14の夜』、『こどもしょくどう』(2019年)、『雑魚どもよ、大志を抱け!』(2023年)と、子供を描いた作品が多いですよね。福岡さんから電話が来て、すぐに返事されたのですか。

足立 いや、詳しく話すと、福岡さんの電話って留守電だったんですよ。「ちょっと頼みたいことがある」っていうメッセージが入っていて、妻は「たぶん、それって朝ドラのことだよ。朝ドラだったら、あんたやりなよ、得意の臆病風ふかせて、びびって断りなさんなよ!」って。多分僕が断るというカンが働いたんでしょうね。
 
 妻はとにかく「来た仕事は10本でも並行しろ!」って感じなので「朝ドラを書いてる間はあんたが今以上にロクデナシになっても怒らない。嫌だけど優しくしてあげるから」なんて取り決めも行われて。それで、折り返したら、やはり朝ドラの話だったんです。なので「やりたいです」と。妻との取り決めは、すぐに守られなくなりましたけど(笑)。

 そこから企画を決めるのに、まぁまぁ時間が掛かりました。

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「この人だったら書けるかも」周囲の人がたくさん亡くなった笠置シヅ子

――企画ありきでスタートしたわけじゃなかったんですね。

足立 決まってる場合もあるかもしれないけど、今回は企画を決める段階から始めました。福岡さんから「まず、足立さんがやりたいと考えていることをどんどん出してください」と言われて。

――企画出しに関して、縛りみたいなものは。たとえば、「主人公は女性で」とか「戦前の日本をテーマに」とか。

足立 特になにも言われなかったので、いろいろ出しましたね。

 女の子版『フォレスト・ガンプ』みたいな話とか、女子野球の話とか。朝ドラの主人公は女性っていう先入観があったので、女性が主人公のものを出しましたね。もちろん、NHKのほうからも企画をたくさん出してもらって。

足立紳さんと妻・晃子さん

――そのなかに笠置シヅ子の企画があったと。

足立 はい。笠置シヅ子さんの人生を要約したものが送られてきたんです。不勉強でお名前と『東京ブギウギ』くらいしか知らなかったんですけど、それを読んで「ああ、こんな人だったんだ」って。そこで興味がわいて「この人だったら、もしかしたら書けるかもしれない」と。

 そこから自伝や評伝を読んだり、NHKが送ってくれた資料を読んだり、国会図書館に通っていろいろ調べていくうちに、すごくユーモラスな人だなと感じたんですよね。その人生で起きている出来事はかなり大変なんですけど、どこか飄々としているというか。

――人柄にビビッときた。

足立 人としての魅力とユーモアセンスと生命力の溢れ方に惹かれましたね。戦争があったのもありますけど、戦争以外の理由でも周囲の人がたくさん亡くなっているんです。「これ、普通の人だったら病んじゃうでしょ」ってレベルなんですけど、その乗り越え方に惹きつけられましたね。べつに乗り越えてるわけでもなく、いい感じでうやむやにしながら生きていく。その感じが好きだなと。

 あと、3センチのつけまつ毛を付けてたとか、そういうアイデアも時代を考えたらすごいなって。