立川市は人口では約18万人と、八王子の3分の1にも満たない。なのに、ターミナルのお客の数は大逆転。このあたり、八王子は東京の衛星都市というよりは、むしろある意味で独立した都市であることを示しているのかもしれない。
目抜き通りをほんの5分も歩けば…
八王子駅の中心市街地は、主に北口に広がっている。駅前広場を覆い尽くすペデストリアンデッキを中心に、まっすぐ北に延びる目抜き通り、そして東へ西へと斜めに延びる放射状の大通りが1本ずつ。この3本の通りが、八王子の市街地のメインストリートになっている。
中央の目抜き通りは、ほんの5分も歩けば甲州街道(国道20号)にぶつかる。新宿駅南口のあの甲州街道が、調布・府中と延々と走ってここまでやってきているのだ。また、東側の放射道路は京王線の京王八王子駅前に通じていて、八王子駅近くには京王プラザホテルも建つ。ふたつの八王子のターミナルの連絡というのが、東側の放射道路の役割なのだろう。
いっぽうの西に向かう放射道路をペデストリアンデッキの上から見下ろすと、とにかく人通りが多くて賑やかで、沿道にはたくさんの飲食店などが建ち並んでいる。ちょっと奥まで歩いて路地にでも入れば、スナックなどの類いがひしめくゾーンもあって、歓楽街の様相も呈する。
町を貫く“2つの特別な道”
そんなエリアのひとつに、黒塀通りと呼ばれるかつての花街が残っている。八王子駅北西一帯は、八王子でいっとうの繁華街なのだろう。そしてその先にあるのは、やはり甲州街道だ。
八王子の市街地を東西に貫く甲州街道は、また同様に八王子を南北に貫く国道16号と市街地の真ん中で交差している。どちらも絶え間なくクルマが行き交う。甲州街道は東京の都心と八王子を結び、国道16号は北は埼玉県さいたま市、南は町田、横浜と結ぶ。このふたつの街道が、八王子の町と他の都市を連絡する大動脈、というわけだ。
歴史的にも、このふたつの道は八王子の町の成り立ちと大きく関係している。