東京の23区以外、つまりざっくりと多摩地域と呼ばれるエリアの中心は、いったいどこなのだろうか。井の頭公園もおなじみの吉祥寺か、それとも交通の要衝・立川か。ちょっと目線を変えて、町田という町もなかなかの規模を持つ。果たして……。
まあ、このあたりは人それぞれのご意見があろうと思う。ただ、ひとつ人口という観点でいうならば、答えは決まっている。23区を除いて、東京都内でいちばん人口の多い市。それは、八王子市である。
都心から約1時間…JR中央線&京王線“東京でいちばん人口が多い市の駅”「八王子」には何がある?
八王子市の人口はざっと56万人。第2位の町田市が43万人だから、圧倒的な多摩地域ナンバーワンといっていい。全国の市町村でも31位にランクインするくらいで、実は八王子というのはとてつもなく大きな町なのだ。
しかし、それにしては八王子という町は地味ではないかと思う。八王子に行こうと思ったら、東京駅から中央線に乗ってだいたい1時間10分くらいで八王子駅だ。新宿駅から京王線の特急に乗ると約45分で終点の京王八王子駅に着く。それに、中央線には青梅行きや豊田行き、武蔵小金井行きなど八王子駅まで行かない列車もいくつもあって、そんなこんなでなかなか遠い町だなあという印象を持っている人も少なくないのではないか。
地元の人には平伏して謝るほかないが、そういうわけで東京の都心から見ると、八王子という町は人口が56万人もいるとは思えないほどに、東京ではいちばんの奥地くらいな印象なのだ。なにしろあの高尾山が八王子市内にある山なのだから、そう思われたとしても無理もないのだ。
では、そんな八王子とはどんな町なのだろうか。中央線に揺られて、八王子駅にやってきた。八王子駅には中央線のほかに横浜線・八高線も乗り入れる。さらに貨物列車の運行もあり、構内はなかなかに広い。さすが56万都市のターミナルといった威容である。駅の北と南にそれぞれに駅ビルも建ち、南北をつなぐ自由通路の人波は途絶えることがない。どことなく、立川駅と雰囲気が似ているような気がする。
とはいえ、お客の数は雲泥の差である。八王子駅は1日あたり約7万2000人の乗車人員。JR東日本全体で51位というのはなかなかのものだが、例の立川駅となると、なんと八王子駅のおよそ倍、14万人を上回る。