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 その後も数ヶ月は訪問を続け、雑談をしながら仕事の様子も聞き、生活が安定しているのを見届けて、支援を終了しました。 

 レンタルお兄さんから見た大悟くんは、「真面目だけど不器用で、自分を出して来られなかったんだろうな」という、引きこもりによくいるタイプだったそうです。 

 自立に至るまでは、ブランクが短いすぐに働けそうな人で半年、普通は1年をめどに支援を考えます。3ヶ月というのは私たちにとってもかなり短く、印象的な事例でした。それが引きこもり期間10年の人なのですからなおさらです。

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「あの10年は何だったんだろう」

 母親はお礼の言葉と共に、「あの10年は何だったんだろうと、今になって思います」と言っていました。 

 相談でよく聞く「支援者にこう言われました」という言葉に、「引きこもり期間と同じだけ、支援には時間がかかる」があります。だからすぐに状況が好転しなくても、諦めずに頑張りましょうということです。 

事態はきっと好転する――。写真はイメージ ©getty

 ですが、この言葉に私たちは賛同しかねます。引きこもり10年でも20年でも、2年も寮生活を送れば7割の人が自立できます。訪問もおよそ1年で8割の人を自立や家にいながらの就労、または寮に動かしています。 

 引きこもり10年の人が、たった3ヶ月で自立することもあるのです。これをお読みになった支援者の方には、大悟くんを「単なる特殊なケース」で片づけず、「そういう未来を自分が邪魔をしていないか?」と自分自身に問いかけながら、今後も支援を続けていただければと思います。