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【引きこもり悪化事例】「もう訪問は結構です」引きこもりの息子の社会復帰を「信じて待つ」ことを選んでしまった“親の失敗”

『引きこもりの7割は自立できる』より #4

note

 統合失調症などを発症している可能性があるため、まず病院に連れて行くことをお勧めし、訪問支援はお断りしました。 

写真はイメージ ©getty

 10年前、親は歩くんの背中を押すことはせず、少しずつ元気になるだろうと「信じて待つ」ことを選択しました。 

 強く言うことにリスクを感じ、安全策を取ったのでしょう。その気持ちは分かりますし、確かに背中を押すことにはリスクが伴います。思いもしなかった強い拒否反応が出て、すぐに支援方針を変えることも時にはあります。 

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「信じて待つ」ことのリスク

 ですが「信じて待つ」もリスクを伴う選択肢であることが、この事例からよく分かります。 

 支援開始後に「信じて待つ」に戻る親というのは、実はそんなに多くありません。信じて待つ親は基本的に、相談はしたけれども支援は依頼しないか、相談そのものをしないでしょう。そして恐らくこういった方々が、引きこもりの親の多くの割合を占めるはずです。この方々が5年後10年後に後悔しないか心配です。 

 絶対に安全な、リスクのない選択肢というものは、残念ながら存在しません。そのことをご理解いただいた上で、今どんな行動を取るか、子どもの何を信じるかを考えていただければと思います。 

引きこもりの7割は自立できる (新潮新書)

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二神 能基 ,久世 芽亜里

新潮社

2023年10月18日 発売

【引きこもり悪化事例】「もう訪問は結構です」引きこもりの息子の社会復帰を「信じて待つ」ことを選んでしまった“親の失敗”

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