イングランド戦からすでに選手たちの足は止まっていた
エディーさんの目には、「日本の選手はフィットしていなかった」ように見えたという。「フィット」という言葉は、勝つために必要な80分間走り、プレーするフィットネス、体力のことを指す。
「合宿では厳しいトレーニングをしていたと聞いています。しかし、2戦目のイングランド戦からすでに選手たちの足は止まっていました。トレーニングの方向性にズレがあったのかもしれません。その点は誰がヘッドコーチになろうと検証すべきです」
さらにエディーさんは、日本のラグビーから創造性が消えかかっていると懸念を述べた。
「2019年のW杯で見せた日本のアタックはクリエイティブで素晴らしかった。それはジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチと、アタックをデザインしたトニー・ブラウン・コーチの功績でしょう。ところが、今大会では独自性を発揮するところまでは行っていませんでした。それは国内でも一緒です。昨季のリーグワンでは、どのチームも同じようなラグビースタイルでプレーしていて、面白いラグビーをしているチームが少ないのです。日本が世界で存在感を示すためには、クリエイティビティが絶対に必要です」
「満開になれば、桜は散ります」
振り返ってみれば、2015年から2019年までは「日本ラグビー最良の時」だった。
独創的なアタックだけでなく、「ONE TEAM」という言葉に集約される価値観、すべてがひとつの方向に向かい、W杯は盛り上がった。しかし、あの熱狂は過去のものになりつつある。
「2015年で桜が咲き、2019年に満開を迎えました。満開になれば、桜は散ります。2023年、日本は衰退のフェイズに入りました。誰もがそれを認識しなければならない。いま、日本代表に必要なのは新しいビジョン、新しいプランです。高校、大学、リーグワンが一致団結し、若い選手が世界で経験を積めるスキームを作らなければいけません。つまり、“植樹”の時期なのです」
植樹するにあたっては、メディア、ファンも新しい時代に備えなければいけないという。