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「2015年からプレーしているベテラン、リーチ、稲垣、堀江、彼らは日本代表を支えてきました。彼らの名前が並んでいると、メディアもファンも安心する。つまり、彼らの名前は“クラシックなポップソング”なんです。誰もが知っていて、聴いていると心地が良い。しかし、居心地の良さに甘んじていると、人間、そして組織はどうなると思いますか? 停滞し始めるのです」

ラグビーW杯、アルゼンチン戦でスクラムを組む堀江翔太(中央)と稲垣啓太(右)©時事通信社

新しいことを成すためには、時間が必要

 エディーさんは常々、「コーチの仕事とは、選手が現状に満足しないように居心地を悪くすること」と話してきた。それは決して選手だけに向けられたものではなく、私のようなメディアの人間、そして日本代表をサポートするファンにも向けられている。

「植樹した後は、芽が出るのか、花が咲くのか、心配なものです。人は、その時期が耐えられないのです。特に、今の時代はすぐに結果を求めがちですから。しかし、新しいことを成すためには時間が必要です。耐える時期は必要なのです」

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 エディーさんは、この10年間で日本代表が培ってきたカルチャーを、次世代に伝えるために必要な日本代表経験者の名前をいくつか挙げてもいた。エディーさんの頭の中で「青写真」がハッキリとした輪郭を描き始めているのだろう。

次期コーチ候補者の名前は明かされていない

 新しいヘッドコーチを決める日本協会は今回、外部の人材紹介会社に選考業務の一部を委託している。選考の透明性を高めるためだろう。

 11月8日、日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事は東京都内で行われた理事会後に取材に応じ、「一定程度の絞り込みはしている」とし、土田雅人会長は「これからしっかり面接して決めるという段取りです。年内に決められればいいと思っています」と話した。

 候補者の名前は明かされてはおらず、エディーさんが含まれているのかどうかも定かではない。

 エディーさんはすでに日本を離れてオーストラリアに戻り、再来日する予定だという。

 果たして、63歳のエディーさんの日本代表における「第2章」はあるのだろうか?