この記者会見を見て、宝塚歌劇団は変わっていくと思えた人は、いったいどれくらいいただろう。有愛きいさん(25)が亡くなった件で、宝塚歌劇団は11月14日に会見を開いたが、ネットの反応は批判一色となった。
いじめやパワハラを全面否定した姿勢をはじめ、「9月のジャニーズの会見よりもひどい」という声もあがった。それほどの悪印象を与えた理由は何だったのか、そして会見に出席した木場健之理事長(60)らが守ろうとしたものは何だったのか。仕草や表情に表れる、その心理を分析した。
哀悼でも謝罪でもなかった驚きの「第一声」
会見冒頭まず驚いたのは、宝塚の理事長・木場健之氏が有愛さんが亡くなった件の調査報告書についていきなり話しはじめたことだ。亡くなった劇団員への哀悼の言葉や、遺族に対する謝罪はなく、事務的に報告書の話からスタートしようとしたのだ。この一言で、彼らにとって重要なのは劇団員が亡くなったことよりも、それをどう釈明するかだったのではないかという印象を与える。
木場氏は「報告書を受け全力で改善に取り組む」と静かな調子で語った後に、ようやく急逝した劇団員に哀悼の意を表し、遺族に心からお詫びすると述べた。
だがこの時、木場氏も、その両横に並んで立つ村上浩爾専務理事、井場睦之理事・制作部長の2人も頭を下げず、微動だにしていなかった。
彼らが頭を下げたのは、その後に宝塚のファンや関係者に深くお詫びすると木場氏が述べてから。これでは、有愛さんやその遺族ではなく、ファンや関係者に対して頭を下げた格好になる。