今回の件の責任を取る形で、木場氏は12月1日付で理事長を辞任し、専務理事の村上氏が新しい理事長に内定していることも発表した。会見終了間際に「宝塚は変わると断言できるか」と質問された村上氏は、前を向き「変わらなければならないものは、絶対に変わらなければならないと私は思います。一方で伝統の中で守っていくべきものも間違いなく“ある”と思っています」と、この会見の中で最も強く“ある”という言葉を強調した。

  やはり彼らにとっての最優先事項は、伝統を守ることなのだろう。

宝塚の木場理事長は12月1日付で退任を発表 ©時事通信社

東山紀之氏の発言と酷似した「伝統」についての発言

 村上氏は会見の中で、宝塚には長く積み上げてきた伝統、矜持や誇りがあり、いくら変化をしていくためとは言っても知らない人が入るのは簡単ではない、という意味のことを答えている。

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 これは、どこかで聞いたようなフレーズではないか。つい2カ月前に旧ジャニーズ事務所が開いた最初の会見で、「これまでタレントが培ってきたエネルギーとか、プライドとかだと思うので、表現の一つでもいいと思う」とジャニーズの名前を残すという文脈で東山紀之氏が発言した内容と似ているのだ。

宝塚歌劇団 理事長より(劇団公式HPより)

 旧ジャニーズはその後2回目の記者会見を余儀なくされ、事務所の名前も変更することになった。宝塚歌劇団はジャニーズ以上に歴史が長い分、伝統を守りたいという感覚はさらに強いことだろう。名前や伝統に対する誇りと世間の意識とのズレ、極力変化を小さく抑え、外部の人間を入れずになんとかしようとする組織のこだわりを感じずにはいられない。

 それらを抱えたまま、伝統を守ろうとする新理事長のもとで宝塚歌劇団は果たして変わることができるのだろうか。

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