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またプロパティを見ると、フレームの幅や高さ、動画の長さ、ビットレートといった、動画データにつきものの情報がまるごと欠落しています。つまりエクスプローラ上ではファイルがあるように偽装しているだけで、ファイルの実体はそこには存在していないことが分かります。
上書きしたファイルが残っているように装う悪質なものも
これらのポイントは、実際にはファイルは存在していないにも関わらず、コピー時のファイル情報だけを読み取って、エクスプローラ上ではあたかもファイルが存在しているように見せるプログラムが存在することです。実際に再生しようとしたり、サムネイルや詳細を表示しようとするとボロが出ますが、エクスプローラの表示だけ見ていれば、気づくことはまずないというわけです。
また、今回の例はまだわかりやすいほうで、容量偽装のUSBメモリの中には、書き込めるデータが上限を超えると、古いファイルから順に上書きする例もあります。つまり今回の例で言うと、31番目のファイルを書き込むにあたり、1番目のファイルがあった領域にデータを上書きするわけです。もちろん、1番目のファイルの名前や容量は、いまだそこに存在しているように偽装したままです。
これならば、新しく書き込んだファイルをその都度きちんと再生できるかチェックしていても、偽装を見抜くことはできません。実際には古いファイルが消失し、再生できなくなっているわけですが、毎回すべてのファイルをチェックでもしない限り、その時点で発覚することはまずありません。しばらく経って、古いファイルが再生できなくなっていることが分かった段階では、時すでに遅しというわけです。