疑問を感じた施設側の態度
「事故当時、施設長を務めていた宇津雅美容疑者から聞いた話では、事故を起こしたドライバーは障害者に関わる仕事に従事した経験もあり、大阪府が主催する強度行動障害者支援の研修会にも参加していたそうです。なぜ生命に関わる仕事において、利用者との約束を無視する運用をしたのか、理解に苦しみます」(清水亜佳里さん)
遺体発見当日にも、施設側の態度に疑問を感じる一件があったという。
「遺体が発見された日、二度とこのような事故が起きないよう、悠生の遺体と対面したうえで謝罪してほしいという思いで、児童発達支援管理責任者と担当ドライバーの2人に会いに来てもらうようにお願いしました。施設側は一旦、それを承諾しています。ところが司法解剖終了後に電話をしたところ、現施設長の宇津慎史容疑者が出て、『兄(宇津雅美容疑者)は別件があって行けない』『弁護士に止められているため、行けない』と発言を翻したのです。
それだけではなく、その前日に私たちが『もっときちんと捜索してほしい』と迫ったことについて、『あなたは兄に酷いことを言いましたね』と言ってきました。
さらに、新たにわかったことですが、私たちの捜索への要望の電話を『恫喝』と捉えた宇津慎史容疑者は、地元警察に相談へ行っていたようです。なぜ、注意を怠って事故を引き起こした当事者が、自分を被害者の立場に置くのでしょうか……」
その後、アルプスの森は、重大な過失があったとして、自治体から3カ月間の新規利用者の受入停止処分を受けた。しかし、事故後も営業自体は停止させられていない。それどころか、施設利用者およびその保護者に事故についての説明を一切行わないまま、通常通りの営業を続けていた。
2023年9月8日、これまで沈黙を守ってきた同施設は、ようやく「保護者会」を開催。対象者は、当時通所していた児童の保護者と、遺族である清水さん夫妻のみで、メディアは完全にシャットアウトした。
遺族は保護者会での質疑応答をこう振り返る。