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過去には行政処分がくだされたことも

「謝罪の定型文のような言葉があるだけでした。そもそも社会に対して開かれた会見にしないこと自体、事故を軽視しているとも感じます」

 尊い生命が失われた事故であるにもかかわらず、軽い処分が下されるのみで、説明責任を果たしたとは到底言えない”保護者会”がまかり通るのはなぜなのか。

「重い処分を下そうにも、障害を抱えている児童のことを考えたら難しい現実があるのでしょう。預け先は簡単に見つかりません。保護者の側も『困難な子を預かってもらっている』という自覚がありますから、子どもが健常者の場合のように要望を強気で言えない部分があります。人質を取られているような気持ちになることも少なくありませんでした」(清水亜佳里さん)

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亡くなった清水悠生さん 写真=遺族提供

 編集部が清水悠生さんの事故に関する事実関係について問い合わせを行ったところ、「事故後の経緯及び関係者の発言などは事故に関することであり、今後の裁判に関わることである」ため、質問には回答できないとのことだった。

 なお、アルプスの森前施設長の宇津雅美容疑者は、過去に大阪府高槻市で運営していた放課後等デイサービス「デイサービス青りんご」に関して、市から、指定障がい児通所支援事業者の指定取り消し処分を受けている。処分理由は、以下の通りだ。

(1)従業者について条例で定める人員基準を満たしていない

(2)給付費の請求に関し不正があった

(3)事業者が市の監査において、帳簿書類その他の物件の提出を命ぜられてこれに従わず、虚偽の報告をした

(4)事業者が市の監査において、市の質問に対して虚偽の答弁をした

 その後、「デイサービス青りんご」は閉所に至ったものの、宇津雅美容疑者は新たな放課後デイサービス「アルプスの森」を開業し、そこで冒頭で紹介した暴行事件、そして本記事で紹介した清水悠生さんの死亡事故が起きている。

 障害を抱える子どもが自立した日常生活を送れるよう、一人ひとりの特性に合わせた支援を行う放課後等デイサービスにおいて、不正や虚偽報告、そして暴行が起こっていることは許されるのだろうか。