大阪府吹田市の放課後等デイサービス施設「アルプスの森」で、利用者(16)に暴行を加えたとして、代表者含め3名が逮捕された。

 同施設が起こした事件・事故はこれだけでない。2022年12月9日、自閉症だった中学1年生の清水悠生さんが、同施設の送迎車から飛び出し、7日後に溺死体で発見される事故があったのだ。

 また、筆者が当該事故について取材を続けていると、悠生さんのケース以外にも、抱えた障害が重い利用者家族ほど、“施設”に率直な要望を伝えづらいという現実がみえてきた。ここでは、放課後等デイサービスを利用する他の保護者が聞き取りに対して吐露した、障害児を預かってもらう立場で抱えるさまざまな感情を紹介する。

ADVERTISEMENT

◆◆◆

うちとは方針が合わないので、来ないでください

 軽度知的障害のある中学生の子どもを放課後等デイサービスに通所させる安藤瑞穂氏(仮名)の証言だ。

「うちの子どもは中学生ですが、学力でいうと小1~小2程度です。これまで複数の放課後等デイサービスに通ってきたんですが、概ね良心的な対応をしてくれるものの、なかにはそうではない施設に遭遇したこともあります。

 相談支援専門員から紹介されたある施設では、面接や契約などを経たうえで通所させることになりましたが、通って2回目くらいで『うちとは方針が合わないので、来ないでください』と一方的に通告されたのです。私が施設の人と問答した印象ですが、うちの子が思ったよりも手がかかるので、もっと管理の楽な子どもだけを集めたかったのかもしれません。通所者が増えて補助金が出ればそれでよし、と考えている業者は多いと聞きます。一方的に断られた経緯を相談支援専門員に伝えた際、謝罪の言葉はありませんでした。

 こうした不条理な目に遭うと、障害児を預かってもらう立場の弱さを感じます。うちはたまたま軽度知的障害ですが、より深刻な障害を抱えるお子さんを持つご家庭は、より大変な状況なのではないか。絶望的な気持ちになることがあっても不思議ではないと思います」

「アルプスの森」に通所していた清水悠生さん 写真=遺族提供

 また、驚くべきことに、自治体の福祉課の担当者のなかにも、その不条理に拍車をかけるような言動をする者がいたという。