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「そうでもしないと障害者が人間扱いをしてもらえない」
「私が福祉課の方に要望をお願いに行ったときのことです。こちらの言葉を聞くなり、担当者は『支援が手厚い別の自治体に引っ越されたらどうですか?』と私に言い放ちました。そこで『今のやり取りは録音しています』と伝えたところ、わかりやすく態度が変わり、対応が手厚くなりました。私もこんなこと(録音)を積極的にしたいとは思っていません。しかし、そうでもしないと障害者が人間扱いをしてもらえないという実感があります。
世の中を見ていると、多くの人が障害者について“他人事”として生きていることがよくわかります。私自身、障害を持つ子どもを育ててみて、自分ではどうしようもない事情で世間から冷遇される現実を初めて知りました」
安藤氏は清水悠生さんと同年代の子どもを持つ身として、事故以降、より一層さまざまなことを考えさせられるという。「考えがまとまらない」としながらも、こんな胸中を明かしてくれた。
「悠生くんの事故について、自分なりに情報収集をしてみましたが、施設側の保身が露骨で非常に不愉快でした。なぜ取り決めたことを守ってくれなかったのか? 悠生くんが逃げたときに本気で追いかけたのか? ご両親からすればすべて当然の疑問であり、施設は誠実に回答する必要があるのではないでしょうか? 具体的な回答を避け、閉じた空間でしか説明を行わない施設の態度が、清水さんをはじめとする障害児を持つ保護者の絶望感をより色濃くしていると思います。