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キャンプ場でひとりの人を見かけても、交流は極力避けるのが得策

 男性は、宮川さんにひとしきり怒りをぶつけると、自分のキャンプサイトに帰っていった。

「キャンプ中に『手伝ってあげる』というのは一見、親切な行動ですし、本当に困っているときはありがたいのかもしれません。ですが、『何か見返りを求められているのではないか』と思って不信感を抱いてしまうこともあります。こちらがお断りした際に、プライドを傷つけられた、と怒り出すのは、あまりに理不尽ではないでしょうか」

秋口も湖畔でソロキャンプを楽しんだという宮川さん。「ナンパとは言い切れない雰囲気で話しかけてくるけど、下心がありそう……という絡み方をしてくる人も多いですね。お願いだからひとりにしてほしい」(写真:宮川さん提供)

 ソロキャンパーの多くが“ひとりの時間”を楽しみに来ているはず、と宮川さんは語る。ひとりでキャンプに来ている人を見つけても、無理な交流は控えるのが得策だ。

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 峯田可奈子さん(仮名・28歳)は、ナンパされた経験はないものの、周囲からの被害報告を聞いてから「自己防衛を徹底するようになった」と話す。

「女性だけでキャンプに行くときや、ひとりのときはテントの設営場所に気を使います。設営場所は、見通しがよく、家族連れや女性がいて、受付が近いエリアにテントを張るようにしています。『怖いならソロキャンプに行くな』という意見もあるかもしれませんが、正直、性別によって趣味や行動が制限されるのは納得できません」

断ったら何かされるのでは…不安を感じて誘いに応じてしまう女性も

 前出の宮川さんも、「同じような体験をした人は多いと思う」と話す。

「女性を誘って断られて怒るのは勝手ですが、された側はたまったものではありません。なにかあっても、夜は暗くて場所を移動してテントの張り直しはできないし、入り口にカギをかけても、もしテントを裂かれては逃げ場がない。こうした状況下で、しつこいナンパを断ったら『なにか仕返しをされるのでは……』と、不安を感じて応じてしまう女性もいるかもしれません。

 できるだけトラブルが発生しないように、キャンプ場の運営側の対応にも期待したいです。たとえば、キャンプサイト予約時に、女性同士を近くするなどの配慮をしていただけるとうれしいですね」

 オートキャンプだけでなく、グランピングやソロキャンプなど楽しみ方が多様化しているキャンプ。誰もが快適に過ごせるよう、そのあり方を再考する必要があるのかもしれない。