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 先述の杉山氏によると、「築古物件の場合、建物規模や前回の大規模修繕からの経過年数などによるものの、修繕積立金の残高が5000万~1億円あれば安心。前回の大規模修繕からある程度時間が経っているのに残高が1000~2000万円の場合には注意が必要」だといいます。購入前の時点で、マンション管理組合で長期修繕計画や積立金の残高がきちんと管理されているかを確認しておきましょう。

 築年数の古いマンションは耐震基準への対応状況によって住宅ローンを借りづらい場合があることにも要注意です。特に建築年が1981年以前の建物は古い建築基準(旧耐震基準)が適用されているために担保評価が低くなることが多く、住宅ローンの審査 が通りづらい、借入額に制限がかかるなどの傾向があります。長期固定金利のフラット35については借入対象外とされ、そもそも利用できません。

 また、税金面で不利になることもあります。住宅ローンを借りているときに毎年の所得税や住民税が軽減される「住宅ローン減税」は、省エネ住宅の基準を満たさない物件だと借入額2000万円までしか減税対象になりません(基準を満たした場合は上限3000万円)。中古物件でも築浅なら省エネ住宅に該当するものがありますが、築古となると要件を満たしにくくなります。

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 加えて1981年以前に建てられた住宅の場合には、「耐震診断や補強工事をして所定の耐震性能がある」という旨の証明書がないと減税されないうえ、耐震基準を満たしていても書類の発行には数万円から十数万円の手数料がかかります。1982年以降に建築された住宅なら証明書不要なので、築年数が40年超になると減税を受けるためのコストや手間が増えてしまう可能性があるわけです。

 以上のことから築古物件は、新築にはない注意点はありますが、新しさにこだわらない場合は、物件探しの選択肢を広げられるかもしれません。

(3)広さを妥協する

 一般的にファミリー向けの物件というと70m²程度以上が目安とされますが、物件価格は面積に比例して高くなりますので、広さを妥協するのも一案です。

 どの程度の広さがあれば快適に暮らせるのか、感じ方には個人差があるところですが、一般論として、子どもが1~2人程度かつ未就学児のうちは50m²台でも無理なく暮らせる家族が多いようで、3人家族で45m²、4人家族で50m²という例もみかけます。

 総務省「平成30年住宅・土地統計調査」によると、東京の住宅1戸あたりの面積は平均約65m²と、全国平均の約92m²に比べて3割も狭くなっていて、東京に住むという時点で、ある程度広さは諦めざるを得ないという面もあるかもしれません。

 しかし、子どもが成長すれば身体も大きくなり持ち物も増えます。思春期にはプライバシー確保の観点からも子どもに個室を与える必要に迫られるなど、必要な住まいの面積は広くなる傾向があります。

 一方で、子どもが一人で学校や習い事、友人宅などに行けるようになり親の送り迎えの必要がなくなっていくにつれて、居住可能なエリアも広がるため、子どもが大きくなったら郊外の広い家に住み替えることを前提に、未就学のうちは通勤や送り迎えの利便性を重視して当面は広さを妥協した家選びをするのもひとつの手です。その場合には、リセールバリューを意識して、再販しやすい立地や間取りの物件を選ぶとよいのではないでしょうか。