〈あらすじ〉
キルギスの小さな村で妻と子供と暮らすクバト(ミルラン・アブディカリコフ)のもとに、23年前ロシアに出稼ぎに行ったきり行方不明になっていた父ザールク(アクタン・アリム・クバト)が帰ってきた。酷い事故のため記憶と言葉を失っているザールクだが、それを迎える彼の妻ウムスナイ(タアライカン・アバゾヴァ)の姿はない。夫の生還を諦め、村の権力者と再婚していたのだ。
周囲の心配をよそに、ザールクは村のゴミを黙々と片付け始める。クバトは家族写真を見せて、父の記憶を呼び起こそうとするが……。
〈解説〉
『明りを灯す人』『馬を放つ』に続く、アクタン・アリム・クバト監督・脚本・主演作。キルギスの社会問題を盛り込みながら家族を描くヒューマンドラマ。105分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★☆☆上出来と思うものの「アッラーは偉大なり」という地の話ゆえ、感情移入は難しい。女たちの内心をもっと知りたかった。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆過疎の村と寡黙な老人。好感を誘う素材をそろえながら、庖丁さばきに難がある。説話の色が出すぎているように見える。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆好奇心を含めて父を厄介者扱いせずに適当に見守る村の光景に好感を。離れた母が魅力的で、暗転の演出に想像が溢れた。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆記憶を失った男が触媒となり人々を初期化へと促す寓話的構造が秀逸。雄大な樹木にもゴミ捨て場にも清廉な詩情が宿る。
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洞口依子(女優)
★★★★☆冒頭からラストに至るまで導入する繊細なカメラワーク。記憶を失くした父がその土地に暮らす意味や心理描写が心に響く。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
父は憶えている(キルギス、日本、オランダ、仏)
12月1日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
https://www.bitters.co.jp/oboeteiru/