あすみ「二人で暮らしている中で、時々デートに外出するとかだったら、そのまま『ふーん』で良かったんですけど。さすがに一緒に住むと、ああポリアモリーだな、と実感せざるを得ないというか。相手(メタモア)のことも嫌いじゃないけれど、共通の話題もあまりなかったので、どう接するのかは戸惑いました。でも、お互い、大事にしたいっていう感覚です。(メタモアとあすみさんの)二人とも、ちょうどメンタルを崩していたので、その方が優先というか。嫌とかではなくて、よく知らない人が同じ家にいる、というところに慣れる時間が必要で」
煉「自分が弱っている時は寄り添ってほしい、という気持ちが、両方に、同時にあったんですよね。でも、僕は体が一つ。時間も限りがあって。だから、その日はどちらと一緒に寝るか、というような問題が」
あすみ「その日、より辛い方と寝る、という(笑)」
煉「物理的なしんどさは、あるにはありました。恋人と暮らしていたのも、彼女の具合が良くなかったからなんですよね。だからあすみちゃんにとっては、自分も辛いけど我慢しなくてはいけない、というようなところから出発してしまったんです。その時が一番、複数愛の大変さのようなものを感じました」
半年で解消した三人暮らし、ストレスはなかった?
そこには、ポリアモリーという関係ならではのストレスはなかったのか。あすみさんに尋ねたが、彼女は軽く否定をする。
あすみ「隙あらば構ってくれるんですよね。体が一つしかないけど、最大限ケアしてくれてる。向こうにばっかり構っている、態度が違う、とかだったら嫌だったかもしれないけれど、私のことも大事にしてくれることも伝わる。徐々に、その人(メタモアの女性)のことを理解したりとか、仕事を休んで体調も元気になってきて、丸くおさまっていったというか。(セックスについては)部屋は二つあったので、一応分けてはいたけれど、結構気にしなかったかな。なんでもあけすけというか、あんまり隠さなかったかな」
煉「(する時はラブホテルに行く、する時はもう一方が部屋を出ていく、みたいな)ルールは特になかったですね」
あすみ「三人で仲良く、ってこともあったし(笑)。割とそこは気にしない感じだったかな。いつでも家でしていた」
煉「でも、はじめから三人でしたいという気持ちがあったとか、それを望んでいたわけではないというのは当然で。僕はパートナーを選んでいるけれど、メタモアがお互いを選んだのではないわけですよね。メタモア同士が性的に惹かれるとは限らない。でもたまたま、僕が好きになった人は、バイセクシュアルの人が多くて」
あすみ「私は基本的にはヘテロセクシュアル。その時のメタモアが、私と体を触れ合うのも楽しそうだったから、それは楽しかった。でも、自分にとってはそれだけで、その後は女の人に性欲が向くことはなさそうでした」
この時の三人暮らしは、半年ほどで解消した。もともと、メタモアの女性の体調が悪く、文月さんが心配だったという理由からの同居であったため、回復のタイミングで自立していったのだという。