中学3年生の男子4人のうち3人を泣かせるほどの叱責
生前、サトルさんは友人とのLINEでも、担任に対する恐怖を吐露していた。実は、夏休み明けの宿題の件以前にも、少なくとも2回担任Zから叱責されていたのだ。
1回目は、友達と4人で昼休みに屋外で遊んでいて、家庭科教室の窓ガラスにボールを当ててしまったのが理由だった。見つかったその場で叱責されたのち、放課後にも職員室で学年の教員たち一人一人に怒られ、担任Zにも叱責された。サトルさんを含めた4人中3人が泣いていたという。中学3年生の男子を泣かせるほどの強い指導だったということになる。
2回目は、他の教員の授業中にサトルさんが居眠りしているのを見た担任Zが、教室に入ってきて机をバンと叩いて起こしたことがあったという。
また2年生だった頃には、サトルさん自身は関与していないものの、所属していたバスケットボール部が練習試合で問題を起こしたことがあったという。Z教諭が対処にあたり、加害者生徒に対して複数の教師で夜間にまで及ぶ厳しい指導をしたという。
サトルさん自身は指導の対象ではなかったが、“連帯責任”ということで掃除をしている時に、Z教諭から他の生徒が「話しないで無言でやれ!」「おまえは笑う資格はないんだよ!」と叱責されているのを間近で見ることも多かった。
「怒られている友人たちを他人事とは思えず、相当疲れているように見えました。息子を含む全員が異常な大声で怒鳴られていたようで、元気がありませんでした。その場面について家で話をすることはなかったのですが、何を考えているのかわからないような表情で、ストレスを抱えているかもしれないと心配してはいました」(アカネさん)
担任Zの怒鳴り声については、後に音声データがあることがわかり、何を話しているかは聞き取れないもののかなりの声量であることがわかる。市の教育委員会が設置した第三者委員会による調査報告書では「地声が大きかったことから、扉が開いた際に、これらの声が3年職員室外に聞こえた可能性がある」とされた。この罵声は複数の保護者に問題視され、改善を求められた。