鹿児島市の中学3年生だったサトルさん(仮名、当時15歳)が2018年9月3日、夏休みを終えた始業式の日に自宅で自殺した。この問題に関し、母親のアカネさん(仮名)が、担任の女性教諭Zの指導が、自殺の原因になったとして市を相手に、約6580万円の賠償を求めて、12月14日に提訴する予定だ。女性教諭Zは、サトルさんが宿題を提出しなかった理由を聞こうともせず怒鳴り声をあげ、かつ「第一志望は、大丈夫なのか?」などと進路に関する不安をあおったという。

「担任は懲戒処分を受けていますが、戒告という軽い処分でした。サトルが自殺してから5年以上たちますが、担任からの謝罪は一度もありません。担任Zと出会わなかったら、今も生きていたのではないかという気持ちが強いです」(母アカネさん)

 亡くなる日の朝、サトルさんは「気分が悪い」と言うなど、学校に行きたくない様子だった。夏休みの宿題が終わっておらず、暗い表情だったという。

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亡くなったサトルさん。活発な中学3年生だった

 13時15分ごろ、帰りの会の最後に、担任Zが「忘れ物をした生徒が複数名いる、とても気分が悪い。忘れ物をした人はわかっているだろうから、教卓に来なさい」と言った。

「宿題をとりに帰る」「本当にごめん」

 宿題を提出しなかった6人を教室の前方に並ばせると、宿題をいつ提出するのかを一人一人に言わせた。サトルさんは6つの宿題が提出しておらず、そのうち数学のプリント集は紛失してしまったことを伝えた。担任Zは「今日が締め切りだから、今日提出するように」と繰り返し指導し、サトルさんともう一人の生徒Bに、職員室へ来るように伝えた。

 職員室での指導は13時25分ごろから始まった。椅子に座ったままの担任Zの前に、サトルさんは青ざめた顔で立っていたという。サトルさんに対して担任Zは怒鳴り声をあげ、責め立てた。その中で、「第一志望は、大丈夫か?」と、宿題とは直接関係のない進路にも言及し、不安を煽った。

 涙を流すサトルさんに対し、担任Zは当日中に宿題を提出するようにと言いつけて帰宅させた。サトルさんは13時40分ごろに他の生徒に「宿題をとりに帰る」と話し、13時58分には「本当にごめん」とメッセージを送信している。