急速に高齢化が進む日本。現役世代の働き手は減り、老後をサポートしてくれる人手は右肩下がりに減少する。“いつでもすぐに駆けつけてくれる家族がいる”ことも当たり前ではなくなった。いわば、私たちは「一億総おひとりさま」時代を生きているといえる。

 そう語るのは、司法書士として高齢者のサポートをしてきた太田垣章子氏だ。ここでは同氏が20年超の経験をもとに著した『あなたが独りで倒れて困ること30』(ポプラ社)の一部を抜粋。生前から考えておきたい、自分が死んでしまった後の準備について紹介する。(全2回の2回目/1回目に続く)

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腐敗に異臭…孤独死で一番困ること

 人は家の中か、家の外か、どちらかで亡くなります。 

 家の中で亡くなる=事故物件になってしまうと不動産の資産価値が下がるので、国交省は2021年に事故物件のガイドラインを発表しました。

 大きくは自殺や事件の場合には事故物件となりますが、病死の場合は事故物件にはなりません。ただし発見が遅く、特殊清掃が必要になれば事故物件となります。

 事故物件と言えば、どうしても賃貸物件をイメージしやすいのですが、持ち家でも同じことです。特に密閉度の高いマンションの場合、室内で倒れていても気付いてもらいにくいものです。

 賃貸物件なら、家賃が支払われないからおかしいと家主などが気付き、さらに連絡がつかないと安否確認で家主側が室内に立ち入ることもあります。

 一方で分譲マンションの場合、管理費や修繕積立金は銀行からの自動引き落としなので、そこから気付かれることはほとんどありません。

 まして条件のいい物件ならある程度の広さもあります。玄関から遠く離れた部屋で倒れた場合、気が付くのは悪臭等がしてからになるでしょうから、その時には相当腐敗が始まっています。